マイカーを保有していると、車検や点検、不慮の事故などで販売店が用意する代車に乗る機会は意外と多い。代車には販売店所有のモノからレンタカーまで、種類が様々ある。
今回は、陰でカーライフを支える「代車」にスポットを当て、販売店の内情を知り尽くした筆者が、代車の秘密を紹介していく。
文/佐々木 亘、写真/AdobeStock(トビラ写真=xiaosan@AdobeStock)
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■販売店が持つクルマが全て代車ではない
販売店が持っている(厳密にいえば販売店を経営する販売会社が保有する)クルマには、試乗車・社用車・サービス代車と、大きく分けて3種類のクルマが存在する。
試乗車は文字通りユーザーに試乗してもらうためのクルマであり、社用車は社員の移動手段として使われる。そしてサービス作業時、ユーザーに貸出されるのがサービス代車だ。
さらにその使い方は様々で、点検中の数時間だけ使われるもの、車検や宵越しの整備で1日~3日程度貸し出されるもの、板金修理などで1か月以上の貸出期間になるものなど、その期間によって使い分けが行われる。
基本的に店舗規模やユーザー数に応じて、保有するサービス代車の数は違う。少ない店舗では3~5台、大規模店舗では20台前後が用意され、車種はコンパクトカーからミニバン、SUV、セダン、商用車など多種多様である。
■なぜ代車にレンタカーが用意されるのか
サービス代車としてレンタカーを用意された経験がある人が、読者の中にはいるだろう。販売店が保有するサービス代車ではなく、意図的にレンタカーを代車として用意するケースは、大別すると2つだ。
1つは、事故修理の代車として利用する場合で、長い修理期間が想定されるときになる。長期修理では、保有するサービス代車を使うことを販売店は避けたいのだ。サービス代車は有限であり、短期間で効率よく貸し出すことを想定して準備してあるため、長期貸し出しをしたくはないのが本音である。
特に事故修理の場合、レッカー搬送されれば、自動的にレンタカーを代車として30日程度貸し出してくれる自動車保険の特約が付帯されていることは多い。
自動車保険に、レンタカー特約が付いているなら、事故修理ではレンタカーを代車として使用するだろう。代車待ちで入庫まで時間がかかるということもないので、ユーザーと販売店双方にメリットがある。
もう一つはリコールやサービスキャンペーンなどの保証修理(整備)の場合だ。保証修理に限ってだが、修理にかかる時間が一定時間以上(メーカーによって基準は異なるが、4~5時間以上が目安)となると、レンタカーを代車使用する可能性は高まる。
なぜなら、販売店はメーカーに対して、レンタカー費用を請求できるからだ。
マイナスなイメージが強い保証修理では、不快感を強めないよう、代車選びも慎重になる。ユーザーの要望を聞きながら、クルマの手配を逐一変える販売店も少なくない。
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