高級車を中心に起きている車両盗難。昨今ではさらに犯罪レベルも向上した「CANインベーダー」が話題になっている。
電子プラットフォーム化された昨今のクルマはプロから見れば「盗んでください」と言わんばかりの脆弱なセキュリティという声も聞く。それでは我々はどうやって愛車を守れば良いのか。最新動向も含め解説する。
文/高山正寛、写真/オートバックスセブン、加藤電機、AdobeStock(トビラ写真=AdobeStock@xiaosan)
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■少なくなったとはいえ、まだまだ起きる「リレーアタック」
駐車場にあるはずのクルマが無い! 一瞬、自分の目がおかしくなってしまったのではないか、と錯覚する位、車両盗難は悲しく、何よりも犯罪者に対して怒りがこみ上げてくる。
筆者は過去、関西&中京エリアで頻発した高級車盗難の取材を行ったことがあるが、意外だったのは取材先の某県警本部では盗難の実態、つまり手法について理解が足りなかったこと、逆にこちらに質問されるほどだった。
当時は「リレーアタック」と呼ばれるスマートキーから常時発信されている微弱電波を拾い、犯人グループが数名でまさに「リレーするように」車両まで持っていき、ロックを解除し、エンジンを始動させて車両を盗むものが多かった。
実例として、某ファミレスで家族所有のミニバンがこのリレーアタックに遭い、本人達が食事をしているのに目の前で車両が盗まれた、という大胆な窃盗事件もあった。
リレーアタックに関しては最近ではワイヤレスキーの電波を遮断するキーケースもよく売れているが、前述したリレー方式ではなく、増幅機(ブースター)を内蔵することで1人でも微弱電波を取得し、その情報をメモリーしつつ車両のロックを解除するものもある。
困ったことに、こういう電波法に違反するヤバイ商品は海外通販であっさり購入できたりするから始末が悪い。
■さらに始末の悪い「コードグラバー」
少し前から話題になっているのが「コードグラバー」と呼ばれる機器による車両盗難だ。読んで字のごとく「Code(コード)=信号」を「Grab(グラブ)=掴む」で元々はスマートキーを紛失した際に緊急用にスペアキーを作るためのものだ。
これを悪用するのがこの犯罪手法だが、スマートキーから発信する電波を傍受するまでは前述のリレーアタックと同じでもコードグラバーが盗むのはスマートキー内の「IDコード」である。
前述したように元々がスペアキー作成用のツールでもあるので、IDコードさえ読み取ってしまえば、ドアの解錠だけでなくエンジン始動などすべての操作が行えることになる。
IDコードが読み取られるので普通にエンジンを始動させる、と車両側は判断するのでイモビライザーなども役に立たない。
またリレーアタックに比べコードグラバー自体の受信感度が高いことで広範囲(半径100m程度)で情報を盗めるというのも犯罪を助長する。また海外の通販サイトでも安いモノならば10ドル程度で手に入る。
もちろん、実際使えるかどうかは犯罪側のみ知るとことだが、上海にいるIT系のエンジニアの知人によれば「こういう連中は片っ端から通販サイトで異なる機器を購入し、その中で国内で使えたことが確認できたら一気にそれを発注する」とマジで勘弁して欲しい物量作戦を繰り広げるという情報もある。
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