日本車の速度メーター なぜ180km/h上限ではなくなったのか

■GPS連動で公道では解除できない仕組みを取り入れたGT-R

現行型R35 GT-Rは「日産のシンボルとなるマルチパフォーマンススーパーカー」として2007年12月に登場
現行型R35 GT-Rは「日産のシンボルとなるマルチパフォーマンススーパーカー」として2007年12月に登場

 日産のR35型GT-Rは、デビュー時から速度メーター上限は340km/h。発表当時には、「300km/hで会話ができる」という謳い文句で登場していたほどであった。

 しかしながら、180km/hで燃料カットの速度リミッターは採用されているため、公道でそれ以上の速度を出すことはできず、速度リミッターが解除できるのは、国内の主要サーキットのパドックに入ったときのみだ(国土交通省の認可も得ているシステム)。

 ナビの位置情報で判断するので、公道では絶対に解除できないようになっている。日産としては、「サーキット走行も想定されるGT-Rには180km/h以上の速度メーターが必要。ただし180km/hでの速度リミッターは公道では絶対に解除できない仕組みを取り入れた(だからいいでしょ)」ということで、自主規制の殻を破ってきたのだ。

 それに続くかたちで、レクサス IS F(2008年)が上限300km/h表示、LS(2009年)が上限280km/hのフルスケールメーターで登場。今ではレクサス車全般、トヨタ86は260km/h、トヨタGRヤリスは280km/h、マツダロードスターは200km/hなど、速度リミッターは180km/hで入るものの、徐々に自主規制に乗っ取らないクルマが増え始めている。

 ちなみに、コンパクトカーのスイフトも2010年に登場したモデルでは表示上限が200km/hとなっており、当時の欧州コンパクトと同じような上限表示となっていた。現行スイフトの上限表示は220km/h、スイフトスポーツに至っては260km/h表示となっているのには驚かされたが、これは少しでもコストカットするために、グローバルワンスペックにした、という理由であろう。

■180km/h超のメーター 視認性にやや問題も

写真は、2016年12月登場の現行スイフトのメーター。
写真は、2016年12月登場の現行スイフトのメーター。

 どこまで速度が出るのか、もしくは測れるのか、ということも重要ではあるが、速度メーターの表示では「視認性」も重要だ。針で示すタイプの場合、表示上限が180km/hだと、ちょうど真上に100km/hから120km/hが来るので、高速道路を走行中に、さっと確認がしやすい。

 対して、速度表示上限を引き上げると、表示盤の真上付近に100km/hの表示がこないため、速度が視認しにくいというデメリットもある。

 自動車メーカーによっては、100km/hくらいまでは間隔を広めにとり、それ以上は細かくなるような可変レンジのメーター設計をしたり、針メーターの他にメーター内へ速度をデジタルで表示したり、ヘッドアップディスプレイ内に速度を表示したりと、工夫もされている。

 スポーツカーで、速度メーターの上限を300kn/hなどの高い速度にしているのは、そのモデルがハイパフォーマンスを誇示したい、という思惑もあるだろう。しかし、日常使用領域の視認性が悪いと、スピードを出しすぎていることに気づくのが遅れたり、速度の確認に時間がかかって前方不注意となるなど、危険な面もある。もちろん、見慣れてしまえば大した問題ではないが、「メリットはさほどない」ということは知っておいていただきたい。

【画像ギャラリー】ハイパフォーマンスの証⁉ 180km/h超のメーターを採用しているクルマたち

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