日本車の速度メーター なぜ180km/h上限ではなくなったのか

日本車の速度メーター なぜ180km/h上限ではなくなったのか

 長い間、国産車の速度メーターは、普通車は180km/hまで、軽自動車は140km/hまでだった。しかし昨今は、その流れが崩れ始め、なかにはほぼ倍の340km/hまでメーター表示できるクルマも登場している。

 いつ頃、どのモデルから、メーター表示上限が180km/h超となったのか。またその理由とは? 

文/吉川賢一、写真/NISSAN、HONDA、編集部

【画像ギャラリー】ハイパフォーマンスの証⁉ 180km/h超のメーターを採用しているクルマたち


■メーター上限「180km/h」は国内メーカーの自主規制

写真は、日産 スカイライン2000GT-Rのメーター。S20型エンジンを搭載し、160ps/18.0kgm、最高速度200km/h、0〜400mは16.1秒
写真は、日産 スカイライン2000GT-Rのメーター。S20型エンジンを搭載し、160ps/18.0kgm、最高速度200km/h、0〜400mは16.1秒

 いまから50年ほど前の1970年(昭和45年)頃は、メーター表示が200km/hを超えている国産スポーツカーが割とあった。例えば、トヨタの2000GT(1967年)は上限表示が250km/h(もしくは160MPH)、日産のハコスカ(1968年)」は240km/h、ホンダのS800(1966年)も200km/hが上限となっていた。

 この3モデルの最高速度(メーカー公称値)は、2000GTが220km/h、ハコスカが200km/h、S800は160km/h。当時、速度メーターは、この最高速度までは問題なく測定できるものを装備する、という考え方だったのだ。

 しかし1970年代といえば、国産車の性能が著しく成長した時代。クルマの性能が向上したことで、簡単にスピードが出せるようになり、その結果として、交通事故による死亡者が急増。対策が急がれていた。

 そのひとつが、100km/h~200km/hを黄帯で塗り、200km/h以上は赤帯を付けた速度メーターや、105km/hを越えると「キンコン」と鳴る速度超過警告ブザー(速度警告音)などだ。漫画「頭文字D」の作中でも描かれている「あの音」だ。なお警告ブザーは1974年に義務付けされたが、1986年には廃止されている。

写真は、1997年8月に登場した初代シビックシビックタイプRのメーター。最高出力185ps/16.3kgmの1.6L、直4VTECエンジンを搭載
写真は、1997年8月に登場した初代シビックシビックタイプRのメーター。最高出力185ps/16.3kgmの1.6L、直4VTECエンジンを搭載

 その後もクルマのパフォーマンスは向上しつづけたが、一方で交通事故抑制のための、より強力な対策も必要とされていた。そこで、国内の各自動車メーカーは、自主規制として、速度メーターの表示上限を180km/hとし、さらには上限速度で燃料カットをする速度リミッターを導入、それ以上はスピードが出ないような仕組みを取り入れた。

 速度メーターの180kn/h上限はもちろん、速度リミッターも、現在でも市販されているすべての国産車で、例外なく採用されている。

 しかし、アフターパーツメーカーから、速度リミッターに関しては各種リミッター変更装置(実質的にはリミッターカット)が、速度メーターも300km/h表示のフルスケールメーターが登場。どちらも自動車メーカーの自主規制であり、定められた規則ではなかったため、「スポーツ走行などのために解除する必要がある場合はOK(公道走行ではリミッター値を戻すから平気)」という解釈で、販売されている状態であった。

 この流れを変えたのが、2007年に登場した、R35型GT-Rだった。

次ページは : ■GPS連動で公道では解除できない仕組みを取り入れたGT-R

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