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3.0L V6並みの最大トルクを発生する「e-POWER 4WD」

 「e-POWER 4WD」は、前後輪を強力なモーターで駆動する電動4WDだ。コンパクトカーの4WDは生活4WD(=雪国で発進時だけに使うような弱い出力)程度である場合も多いが、e-POWER 4WDはその範疇には収まらない、高いポテンシャルをもっている。

 e-POWER 4WDは、リア車軸に最高出力50kW/最大トルク100Nmのモーターを搭載している。これは、先代であるE12ノート4WDのリアモーター出力(3.5kW)と比較すると、なんと14倍もの容量だ。

 ちなみに、ヤリスHYBRIDの4WD、E-Fourの後輪用モーターは、最高出力3.9kW(5.3ps)/最大トルク52Nm程度。フィットe:HEVはプロペラシャフトを備えた4WDだ(リアにモーターを持たない)。

 現行ノートe-POWERの4WDの場合、フロントモーターの出力と合わせれば135kW級(最大出力は184ps)、最大トルクは380Nmにもなる。車重1340kg(FFは1220kgなのでプラス120kg)に、3.0L V6並みの最大トルクを発生するモーターを備えることを考えれば、相当に痛快な走りができることは、みなさんも想像がつくだろう。

後輪用モーターのサイズアップによって、車両後部のフロアレイアウトが相当難しかったそうだ。だがその分、e-POWER 4WDのパフォーマンスは大いに期待できる
後輪用モーターのサイズアップによって、車両後部のフロアレイアウトが相当難しかったそうだ。だがその分、e-POWER 4WDのパフォーマンスは大いに期待できる

ノート勢には出力を絞って搭載

 しかし、実際のところ、ここまで大きなリアモーターは、ノートやノートオーラにはオーバースペックにも感じる。2020年末に行われたノートの試乗会で、日産のエンジニアの方も、「今回のノートの4WD車は、いままでの生活4WDとはかけ離れた高い動性能を実現できました。ただしリアモーターの出力は、完全にオーバースペックであり、出力は適宜絞っています。」と、話されていた。

 だがそこは、生粋のレーシングチーム「NISMO」のエンジニア集団だ。巧みなモーター出力制御を行い、4WD駆動パフォーマンスを引き出す「スペシャルセッティング」をこしらえてくれるに違いない。

 例えば、後輪側のトルク重視にして、疑似的にFRに近いフィーリングにすることも、不可能ではないはずだ(ひょっとするとアリアのe-4ORCEでやってくるのかもしれないが)。せっかく、ベース車であるノートオーラにe-POWER 4WDという極上素材があるのに、NISMOでやらないのは非常にもったいない。

 おそらく、この「e-POWER 4WD」は、まもなく国内でも発表されるであろう「新型エクストレイル」や、欧州で2021年2月に発表された「新型キャシュカイ」といったミドルクラスSUV用に開発した技術であり、それをノート勢にも採用した、ということなのだと筆者は考えている。

1.5Lサイズの可変圧縮比エンジン、VCターボを発電専用エンジンとして搭載した新型e-POWERを搭載する
1.5Lサイズの可変圧縮比エンジン、VCターボを発電専用エンジンとして搭載した新型e-POWERを搭載する

 すこし話がそれるが、新型キャッシュカイには、1.5Lサイズの可変圧縮比エンジン「VCターボ」を発電専用エンジンとして搭載した「e-POWERターボ」が採用されることが発表されている。「e-POWERターボ」は、最高出力140kW(187ps)、最大トルクは330Nmにもなるという。

 おそらく、日本仕向けの新型エクストレイルにも、このe-POWERターボ、そして「e-POWER 4WD」も搭載されるであろう。エクストレイルの4WDの車重(約1.6トン)を動かすにも十分なスペックだ。

次ページは : e-POWER 4WD搭載で「GRヤリス並の最大トルク」に!!

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