長生きGT-Rと短命NSX 運命を分けたのは「ビジネスの匂い」?

長生きGT-Rと短命NSX 運命を分けたのは「ビジネスの匂い」?

 日本が誇る2台のスーパースポーツ、日産「GT-R」とホンダ「NSX」。GT-Rの登場は2007年のこと。15年目を迎えようとしている超ロングセラーモデルだが、すでに2022年モデルが発表されるなど、いまでも世界的に人気のあるモデルだ。

 一方のNSXは、現行である2代目が登場したのは2016年。しかしながら、2022年での生産終了がすでに発表されており、その人気も、スーパーカーとしては、やや影が薄い印象がある。

 価格や成り立ちが異なる2台ではあるが、なぜここまでの違いが生じてしまったのだろうか。

文:立花義人、エムスリープロダクション
写真:NISSAN、HONDA、池之平昌信

【画像ギャラリー】ホンダ生んだスーパーカー「NSX」の初代と2代目を振り返る


GT-Rのこだわりは「人の手」

 まず、GT-Rの歴史を簡単に振り返ってみよう。初代スカイラインGT-Rは1969年に登場。人気の後期型、クーペのKPGC10は1970年の登場だった。そしてわずか197台しか生産されなかった幻の2代目KPGC110型、16年のブランクを経て1989年に登場したR32型、ボディサイズが大きくなり、イギリスへもわずかに輸出されたR33、そしてスカイラインという名が付く最後のGT-R、R34型と続く。ここまでは、基本的に国内専用モデルであった。

R34型スカイラインGT-R (1999年~2002年)。歴代GT-Rのなかでも、もっとも人気のあるモデルだ
R34型スカイラインGT-R (1999年~2002年)。歴代GT-Rのなかでも、もっとも人気のあるモデルだ

 それが、通算6代目となる現行R35型では、左ハンドルも設定され、世界各地に輸出されるようになる。エンジンは3.8L V6ツインターボを搭載し、2007年登場の初期モデルでも最高出力は480ps、最新モデルでは570ps、NISMOでは600psを絞り出す。

2007年登場当初のR35GT-R
2007年登場当初のR35GT-R

 エンジンは選びぬかれた匠により手作業で組み上げられ、溶接・塗装の工程にも職人の手が入る。完成した車両には特別技能を有するセットアップドライバーがブレーキ、トランスミッション、サスペンション等の調整と合わせ込みを目的にテストコースを走行し、初期なじみと慣らしの作業を行う。人の手によってのみつくりあげることのできる最高の感度と感性を届ける、それがGT-Rの持つこだわりだ。

GT-R2022モデルの「Premium edition T-spec」。イヤーモデル制でブラッシュアップされるため、15年も経過するモデルには見えない
GT-R2022モデルの「Premium edition T-spec」。イヤーモデル制でブラッシュアップされるため、15年も経過するモデルには見えない

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