■「タイプS」はすっきり優しいホンダスポーツ
さて、今回のタイプS試乗に戻ろう。絶妙に劣化が進み、部位によってはニュル以上の大負荷がかかるポイントもあるという鷹栖プルービンググラウンドのワインディング路を、NSXタイプSは舐めるように綺麗に走り抜いた。サスをみごとに応答させてアタリ柔らかに上屋の動きを抑え込み、連続するギャップでもドライバーは安心して610psのアクセルを踏み込んでいくことができる。
タイプRのようながむしゃらさではない、そのしなやかな走りは、実はシビックやヴェゼルなど、直近のホンダ車の走りのキャラクターと重なるところでもある。
第二世代のトリをつとめたNSXがタイプSを名乗る最大の理由は、その名をスポーティ銘柄に与えているアキュラのブランディング的なご都合があるのだろう。が、国内銘柄もすっかり数を減らしたしたホンダに、この先求められるスポーツモデルといえば、無駄な動きがなくすっきりと優しいNSXタイプSのような乗り味、それと同一線上にあるもっと小さく軽く手頃なモデルではないかと思う。
速いも遅いもFFもFRも関係ない。手始めにフィットあたりにタイプSのようなコンセプトのモデルがある……というところから始めてもらえないだろうか。
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