北米のスバル新型WRXを初代WRX S4オーナーがズバリと斬る!

北米のスバル新型WRXを初代WRX S4オーナーがズバリと斬る!

 すでに米国で新型WRXがワールドプレミアされているが、日本でもスバルのウェブサイト上でその日本仕様となるWRX S4のティザー動画が流されている。そこで、日本で今後発売される新型WRX S4はどうなるのか、先代WRX S4のラリー仕様を所有する国沢光宏氏に、北米で公表されているWRXの情報から占ってもらった。

文/国沢光宏写真/SUBARU

【画像ギャラリー】VA型WRXよりシャープになった!? 気がする? 新型WRX北米仕様を写真でチェック!!


■北米のWRXファンは275psじゃ納得しない?

 日本に先駆けアメリカで新型WRX が発表された。アメリカのモデル名は「WRX 」となっているけれど、日本のWRX S4と同じモデルだ。SOA(スバル・オブ・アメリカ)としちゃ「WRX STI」も想定しているんだと思う。というのもWRXのスクープ情報では最高出力がメルセデスのAMG A45に対向し、400ps以上になるというウワサも。

2021年9月10日に発表された新型WRXの北米仕様。ボディサイズ(インチをcm換算)は全長4669mm×全幅1827mm×全高1468mm、ホイールベースは2673mm
2021年9月10日に発表された新型WRXの北米仕様。ボディサイズ(インチをcm換算)は全長4669mm×全幅1827mm×全高1468mm、ホイールベースは2673mm

 実際、アメリカのスバル好きは……特にWRX STIファンは、WRX に対する期待値が途方もなく大きい。このカテゴリーでライバルに負けることなど許せず、271hp(アメリカの出力表示。日本だと275psになると言われている)くらいのエンジンじゃ納得しないと思う。そんなことからWRX GTというネーミングになったのだろう。

 気になるのが「新型WRX STIは出るのか?」。日本のファンも「400ps級のハイパワーモデル出るなら待つ!」じゃなかろうか。残念ながら新型WRXに搭載されるFA24ターボ、エンジンブロックなどの強度に余裕ないようだ。EJ20ターボはWRCで戦うため、ベースになったEJ20から大幅に進化している。EJ20ターボだけ違うエンジンと言っていい。

FA24型2.4L水平対向4気筒ターボエンジンを搭載。271hp(275ps)/5600rpm、258Ib-ft(35.7kgm)/2000-5200rpmを発揮する。全速域で新型は先代モデルよりもタイムアップを果たしているのだという
FA24型2.4L水平対向4気筒ターボエンジンを搭載。271hp(275ps)/5600rpm、258Ib-ft(35.7kgm)/2000-5200rpmを発揮する。全速域で新型は先代モデルよりもタイムアップを果たしているのだという

 だからこそ2500ccターボのEJ25は排気量大きくてもEJ20の出力に勝てなかった。FA24ターボのポテンシャル、エンジン本体に手を加えないかぎり300psくらいだと言われている。したがって400psを狙うのなら、相当の投資をしなければならない。もちろんコストなど気にしなければ作れるだろうけれど、そういった決断をするかどうか読めない。

■S4のベースはレヴォーグで、WRX STIとは別物

 脱線した。アメリカで発売された新型WRXをチェックしてみよう。アウトラインは先代のWRX S4と共通している。すなわち「レヴォーグの4ドアモデル」です。先代レヴォーグをSTIベースのATモデルと思っている人が多いけれど、実はまったく違う。何を隠そう、私も先代S4を見て「STIに直噴エンジン+CVTを搭載した」と理解した。

限定500台があっという間に完売したWRX S4「STI Sport #」。この「STI Sportの完成形」を目指した特別仕様車は、FA20型2.0Lターボエンジンで300ps、40.8kgmを実現している
限定500台があっという間に完売したWRX S4「STI Sport #」。この「STI Sportの完成形」を目指した特別仕様車は、FA20型2.0Lターボエンジンで300ps、40.8kgmを実現している

 S4で国際格式のラリーに出場するためにSTI用のロールケージやアンダーガードなどのパーツを用意したのだけれど、車体骨格がまったく違う! 中身は初代レヴォーグなのだった。ヘッドライトもレヴォーグと同じ。蛇足ながら私のS4は右側ヘッドライトを割ったので中古部品買ったらレヴォーグ用しかなし! フチ取りの有無だけで共通です。

 新型WRXもヘッドライトは新型レヴォーグと同じ。それだけじゃなくWピニオン式の凝ったステアリングや、電動サーボアシストのブレーキなども採用される。先代WRX S4の数少ない弱点がサーボ不足のブレーキシステムや、ステアリングフィールだった。両方とも圧倒的にスペックアップした新型は素晴らしい乗り味になると思う。

SGP+フルインナーフレーム構造の採用などにより、ねじり剛性が28%、サスペンションの取り付け剛性が75%向上。さらにレヴォーグから採用されたZF製電子制御ダンパーが採用され、先代より走りの性能と乗り心地の両方が向上している
SGP+フルインナーフレーム構造の採用などにより、ねじり剛性が28%、サスペンションの取り付け剛性が75%向上。さらにレヴォーグから採用されたZF製電子制御ダンパーが採用され、先代より走りの性能と乗り心地の両方が向上している

 ショックアブソーバーも、大いに期待していい。新型レヴォーグに採用されたザックスは大絶賛されている。WRX S4開発チームからすれば、良質のダンパーを躊躇せず使える素地ができたと思う。アメリカ仕様を見ると電子制御ダンパーとあるので、基本的には新型レヴォーグをベースにしているかと。どんな味付けになっているか?

■日本仕様のデザインとスペックはどうなる?

 アメリカ仕様にラインナップされる6速MT仕様は日本では売られない。日本の法規では2021年11月以降発売の新型車にADAS(自動ブレーキ)標準装備を義務づけている。アイサイト+マニュアルミッションの組み合わせがまだ存在せず、売りたくても認可にならないのだった。ということで現行S4のCVTを改良して搭載するという。

 以上がハード面。おそらく新型WRX S4に試乗したら「凄くいいね!」という印象になると予想しておく。レヴォーグにも同じエンジン(足回りも)を搭載するというので、ラゲッジスペースが欲しいならそちらを考えたらいいだろう。個人的には400psオーバーのエンジン+マニュアルミッションのWRX STIを期待しておく。

 最後にエクステリアを紹介しておこう。アメリカでも評価が分かれているのが、後方にエアアウトレットなど設け、空力を追求したという樹脂製のオーバーフェンダー。明るいボディカラーだと大いに目立つため、雰囲気としちゃSUVっぽくも見える。アメリカはSUV人気のため、あえて狙ったかもしれない。皆さんどう思うだろうか?

エアアウトレット付きの樹脂製大型フェンダーは、かなり空力に考慮しており、空気が車輪付近から排出され、前輪タイヤの揚力を抑えて操縦安定性が向上する
エアアウトレット付きの樹脂製大型フェンダーは、かなり空力に考慮しており、空気が車輪付近から排出され、前輪タイヤの揚力を抑えて操縦安定性が向上する

 ただ写真はアメリカ仕様であり、日本仕様がどうなるかはわかっていない。スペックを見ると日本仕様のほうがホンの少しながら車幅が狭いという。だとしたら樹脂製オーバーフェンダーの形状違いということになる。果たしてどんなデザインになるのか? 日本仕様の情報公開は、11月くらいになるという。しばしお待ちを。

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