「五輪はよくて四輪はだめなのか」。SNSで湧いて出たこの言葉が、豊田章男自工会会長の口からスーパー耐久の場で発せられた。
オリンピックはできた、しかしモータースポーツのドライバーたちは大いに苦戦している。14日間の隔離生活を余儀なくされ、それは世界選手権という場に参戦しているドライバーにものしかかった。
しかし音楽フェスのために来日した外国人アーティストは超短期間の隔離だけで日本で興行をできたという事実も明らかになっている。
超高級ホテルに短期間宿泊するだけで興行ができたアーティストに対し、元F1ドライバーにしてWECドライバーの小林可夢偉はアパホテルでの14日間の隔離を強いられた。
なぜこんなことになっているのか。悔しい思いを小林可夢偉本人が語ってくれた。
インタビュー・文/段 純恵、写真/TOYOTA、TOYOTA GAZOO Racing
■世界選手権のために国内選手権が制限されるナゼ
今季のSF参戦は今回だけです。正直、苦戦してます。SFは10ヶ月ぶりなんでリハビリ中の感覚というか。他のレースに出てたからいいじゃんて思われるかもしんないですけど、やっぱりそれは違うんですよ。
僕自身は国内で走るために、いろいろ提案してきたつもりです。例えば毎日PCR検査して、国内の移動は自家用車で自走、ホテルに泊まらずキャンピングカー滞在でもダメですか? とか、スポーツ庁とかに確認してもらいながら出来るプロセスは全部踏みました。でもダメだった。
みんな最善を尽くしてたと思います。提案した僕らも提案を取りまとめた人もそれを受け取った人も。でも、根本的にそういう問題じゃなかったんですね。
ルールはもちろんルールだと思う。でもそしたらオリンピックだけなんで特別なんだ? ってのはクエスチョンですよね。それより疑問なのが音楽フェス。外国人が3日間の隔離滞在の後、フェスに出演して帰ってったんです。しかも隔離場所はリッツカールトン。ふつうは空港指定のアパとかですよね。
でも彼らは日本に着いて3日間、ホテルの部屋で用意してもらったゲームで適当に遊んで、その後にフェスして帰っていった。アーティストだけで5、6人、その取り巻きのカメラマンとかも来てたんですよ。僕からすると、ちょっとそれはおかしくないですか、と。
音楽関係とスポーツ関係は窓口が別やと思うけど、音楽の人ができてなんでスポーツの僕らは2週間の隔離をしっかり守らないといけないのか。そこに何かしら理由がないとまったく辻褄が合わない。なんで音楽フェスはいけたのかって理由がまったくわからない。
政治家と関係のあるバッハ会長が帝国ホテルに泊まってるのはまぁわかります。でもみんながアパに直行させれられてるのに、スーパーソニック出演のアーティストがリッツカールトンのスイートに泊まるって、もう、そういうところがまったくイコールじゃないんです。
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