よくこんなクルマ作ったな…マーチスーパーターボという傑作

じゃじゃ馬FFを乗りこなす楽しさが味わえた

 「マーチスーパーターボ」は、エンジン自体はマーチRと同じく、930㏄のターボ+スーパーチャージャーであったが、5速MTに加えて、3速ATも用意されていた。ボンネット上についたエアインテークやグリルに埋め込まれた円形フォグランプ、コンパクトなリアウィングなど、無骨ながらも戦闘力の高さを表すようなエクステリアデザインは、いま見てもカッコいい。

 インテリアにも、定番装備の3連メーターや、MOMO製の3スポークステアリングなど、レーサー気分を盛り上げるアイテムが奢られていた。

 車両重量770kg(カタログ値)という超軽量で、その走りは痛快そのもの。その反面、エンジンパワーが高いことで起きるトルクステアや、コーナーでアクセルオフした際のタックインが強いなど、弱点もあったが、運転好きにとっては、それを乗りこなす楽しさも、このモデルに惹きつけられる要素であったようだ。

マーチRのインテリア。レーサーの定番装備でもあった3連メーターや、MOMO製の3スポークステアリング
マーチRのインテリア。レーサーの定番装備でもあった3連メーターや、MOMO製の3スポークステアリング

モータースポーツへの情熱は持ち続けてほしい!!

 車両本体価格は5速MTが115万3000円、3速ATが116万9000円。マーチスーパーターボ登場の1989年は、大卒初任給が16万円ほど、現在(2021年)は22万6000円(厚生労働省による2020年調査結果)と、今と当時とでは状況が異なるが、それにしても「安い」といえるモデルだった。現在では、中古車オークションでもほとんど目にすることが無い、レアなクルマとなっている。

 日産は、このK10型のころから、マーチのワンメイクレース「マーチカップ」を開催するなど、モータースポーツ活動を長年続けてきたが、「マーチカップ」は昨年11月には遂に終了となってしまった。スキルアップを図れる入門レースとして、幅広いユーザーに愛されたマーチカップの功績は大きく、終了は大変残念だ。

 マーチスーパーターボのような、「ぶっ飛んだホットハッチ」が誕生することは二度とないだろうが、このマーチスーパーターボや、マーチカップの功績を忘れることなく、いつの日か、日産がマーチカップのようなレースを復活させてくれることを願っている。

全日本ラリーのベース車として、1988年に登場したマーチR。Rのロゴマークが眩しい!!
全日本ラリーのベース車として、1988年に登場したマーチR。Rのロゴマークが眩しい!!
【画像ギャラリー】1989年登場のマーチスーパーターボと、同年代のホットハッチたち(27枚)画像ギャラリー

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

不死鳥のごとく蘇る! トヨタS-FR開発計画は再開していた! ドリキンこそレジェンドの土屋圭市さんがトヨタのネオクラシックを一気試乗! GWをより楽しく過ごす情報も満載なベストカー5月26日号、堂々発売中!