毎年、さまざまな新車が華々しくデビューを飾るその影で、ひっそりと姿を消す車もある。
時代の先を行き過ぎた車、当初は好調だったものの、市場の変化でユーザーの支持を失った車など、消えゆく車の事情はさまざま。
しかし、こうした生産終了車の果敢なチャレンジのうえに、現在の成功したモデルの数々があるといっても過言ではありません。
訳あって生産終了したモデルの数々を振り返る本企画、今回はトヨタ FJクルーザー(2006-2018)をご紹介します。
文/伊達軍曹 写真/TOYOTA
【画像ギャラリー】2003年のコンセプトモデルも!!! トヨタ FJクルーザーをギャラリーで見る(26枚)画像ギャラリー■北米での人気を受け日本でも発売開始となった本格オフローダー
トヨタが、そもそもは北米向けに投入した(北米では)ミドルサイズのSUV。
しかしSUVとはいえラダーフレーム構造のボディや車軸式リアサスペンション、パートタイム4WDなどを採用する本格オフローダーであり、往年の「ランドクルーザーFJ40」をイメージしたレトロなスタイルもウケて、彼の地でスマッシュヒットを記録。
そして北米仕様の逆輸入車が日本でも人気となったことで、2010年12月からは日本市場でも販売を開始。
一部で大人気となったものの、彼の地のミドルサイズも日本の道では「大きすぎる」とされる場合が多く、また4Lガソリンエンジンがもたらす凶悪な(?)燃料代も敬遠されたか、2018年1月には生産終了となってしまった、スタイリッシュなニクい奴。
それがトヨタ FJクルーザーです。
トヨタ FJクルーザーは「レトロなデザインをまとった北米市場専用の中型SUV」として開発され、2003年のデトロイト・オートショーにまずはコンセプトカーとして出品されました。
その後2005年には最終的な量産型が出品され、2006年モデルから北米で販売開始となったFJクルーザーは、そのしゃれたデザインと確かな走り、その割には決して高くはない車両プライスから、北米における人気SUVのひとつとなりました。
そしてそのまま北米専用車としての販売が続きましたが、その逆輸入車が日本のSUV愛好家の間でも人気となっていたことから、トヨタは日本市場への投入を決定。2010年11月25日に日本導入が正式発表され、同年12月4日に販売開始となりました。
北米生産車に見えて、実は最初から日野自動車の羽村工場で作られていたFJクルーザーは「ランドクルーザープラド」をベースとし、ラダーフレーム構造やサスペンションなどの基本部分を踏襲。
一見する限りでは2ドア風のボディは観音開きのドアを採用しており、ボディサイズは全長4635mm×全幅1905mm×全高1840mmと、プラドよりひとまわり小さく(※全幅はFJクルーザーのほうが広い)、ホイールベースも100mm短いプロポーションでした。
「オフロードにおける運動性能を念頭に置き、ショートオーバーハング、ショートホイールベースのディメンションを採用した」とトヨタが言うFJクルーザーのアプローチアングルは34度で、ディパーチャーアングル27度、ランプブレークオーバーアングルが28.5度。
駆動方式はパートタイム4WDで、シフトレバー横には後輪駆動(H2)、4輪駆動(H4)、ローレンジの4輪駆動(L4)を切り替える「トランスファーレバー」が備わっています。
日本仕様の搭載エンジンは最高出力276ps/最大トルク38.8kgmの4L V6DOHC「1GR-FE」で、組み合わされるトランスミッションは5速AT。
発売当初の車両価格はベースグレードが314万円で、ドアトリムがボディ同色になる「カラーパッケージ」が324万円、リアデフロックが標準装備される「オフロードパッケージ」が332万円でした。
そんなFJクルーザーは2013年11月に北米仕様の生産終了が決定し、2015年から2016年にかけては日本仕様も「生産終了か?」という噂が何度も流れたのですが、そのたびに不死鳥のごとく(?)生産と販売が続行されました。
しかし2018年1月、今度こそトヨタ FJクルーザーは本当に生産終了となってしまったのです。
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