「輸入車と国産車の新車価格は大差なくなってきた」。そう言われるようになって久しい。実際、車のカテゴリーやメーカー/ブランドによっては、ほぼ同クラスの輸入車と国産車の価格が拮抗している例も珍しくなくなってきた。
それでも輸入車が国産車と比較して身近になりにくい理由のひとつに、「修理費用が高い」というイメージが根強いことがあげられる。果たして今も輸入車の修理費用は高いのだろうか? メーカーや修理内容によっても多岐にわたるが、本稿では全般的な近年の傾向を中心に解説する。
文/諸星陽一
写真/Adobe Stock(メイン写真:Shutter2U-Stock.Adobe.com)、Daimler、BMW
■輸入車と国産車で修理に関わる工賃と部品代は違う?
多くの人が感じているのは、輸入車のメンテナンス料金は高いものということだろう。実際はどうなのだろうか? 一般的にメンテナンスに掛かる費用は部品代+工賃ということになる。
まずは工賃から考えていきたい。自動車の整備工賃は工程数×時間工賃という形で決められていることがほとんどだ。たとえば、オイル交換の標準作業時間が30分だとしよう。この場合、0.5時間分の工賃が発生する。時間工賃が8000円のお店ならオイル交換工賃は4000円、1万2000円のお店なら6000円となるわけだ。
具体的なディーラー名を挙げることは避けるが、国産系ディーラーでは1時間あたりの工賃が8000円程度、輸入車系ディーラーでは1万2000円程度の料金設定が多いようだ。もちろんこれは一例であり、ディーラーごとに異なっているのは言うまでもない。また、オイル交換などは特別工賃として格安設定していることもある。
さて、部品代だ。そもそも部品は同じものが少ないので、比べることが難しい。部品が高いか? 否か? は一概にはいえないのだ。しかし考えてみてほしい、国産車はドイツ車などに比べると新車価格もリーズナブルになっている。それはなぜなのだろう?
日本車はコストダウンをすすめることでクルマの価格を抑えてきた。そのコストダウンのなかには当然、部品のコストダウンも含まれている。こうした部品の多くは部品として購入する際の価格も安いということになる。すべてのパーツがこうしたことに該当するとは言いがたいが、価格の安いクルマのパーツは安くなりがちであるのもまた事実だ。
少し話はずれるが、ドイツの最低賃金は1時間あたり9.6ユーロで日本円換算だと約1270円、日本の最低賃金は1時間あたりもっとも高い東京で1041円なので、それなりの差がある。ドイツで作られたクルマが高価なのは当たり前といえば当たり前だ。
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