■一般道路での稼働を見越したシステム設計
2016年3月、国土交通省による「ドライバー異常時対応システムのガイドライン」が公布されました。このガイドラインは年間300件ほど発生している、ドライバーの身体的な異常に起因する交通事故を防ぐために策定され、世界初の技術指針として広く認知されています。
このガイドラインを受け2017年に発売されたレクサス「LS」では、「ドライバー異常時停車支援システム(LTA連動型)」としてEDSSに準拠した技術が実装されました。
車線維持支援機能であるLTAは、前走車を追従するアダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)機能とセットで働きます。よって当時のLSでは、高速道路や自動車専用道路でACC&LTAの両機能をドライバーの意思でスイッチオンにしている際に機能していました。
レクサスLSに続いて実装された大型観光バス(例/2018年の日野自動車「セレガ」)では、段階的に制御方法を進化させています。
まず、(1)「押しボタン方式の単純停止方式」が採用され、乗員もしくは乗客のボタン操作をトリガーに減速制御され完全停止。続く(2)「自動検知方式の単純停止方式」では、ドライバーモニターカメラを活用しドライバーが突っ伏してしまうなど運転継続ができないとシステムが判断すると、特別な操作をすることなく自動的に減速制御がはじまり、同じく完全停止します。
現在EDSSは大型路線バス、さらには大型・中型トラックにまで採用が拡がり、いずれは小型トラックへも展開されます。
また、トラックにもアダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)機能や車線中央維持(LK)機能が実装され始めたことから両機能とも連動し、EDSSの停止制御稼働中はこれらのセンサー(光学式カメラやミリ波レーダーなど)も併用しながら、より安全な停止を目指します。
この連動併用型は、現時点での商用車向け最新版EDSSで(3)「自動検知方式の車線内停止方式」と呼ばれ、三菱ふそうの大型トラック「スーパーグレート」が実装しています。
一方、乗用車のEDSSは前述したレクサス「LS」以外にも、日産「スカイライン」、トヨタ「MIRAI」、スバル「レヴォーグ」、ホンダ「レジェンド」が実装しており、LS、MIRAI、レジェンドでは、高速道路上などでシステムが稼働した場合、条件が許せば路肩退避まで行ないます。また、この先EDSSは将来への法制化に向け、車両価格の安価なモデルへの搭載も進むでしょう。
ただ現時点、国産乗用車が採用するEDSSはいずれもACC&LK機能の付随機能です。言い換えれば、ACCやLK使用時にのみEDSSが稼働する条件整います。従って、必然的に高速道路や自動車専用道路での制御を前提にしたシステム設計であることがわかります。
なぜなら、ACC機能にはシステムに許された減速度が限られていて、ゆえに歩行者の飛び出しなどが考えられる一般道路での使用は正しい使い方として認められていません。その旨は各車の取扱説明書にも明文化されています。
対してMAZDA CO-PILOT CONCEPTは、ACCやLK機能の作動有無にかかわらず稼働可能であることから、一般道路での稼働を見越したシステム設計がなされています。さらに、前述した飛び出しに対しては「衝突被害軽減ブレーキ」とも連動させて、可能な限り事故を抑制します。
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