軽トラからカプチーノ……日本の軽自動車が広大なアメリカでなぜウケる?

■注文に対して納車が追い付かない! 軽トラ人気急上昇

日本で使われていた軽トラは、新車の時から錆び防止の加工などがきちんとしてあって感心するほどだという
日本で使われていた軽トラは、新車の時から錆び防止の加工などがきちんとしてあって感心するほどだという

 軽トラが人気の理由。それは実用性と見た目のかわいらしさ、ごくごく小さな車体でありながら、機動力があり、また荷物がたくさん積めること。

 もちろん日本の実用車としての優れた品質、整備性の良さ、汎用性がありタフでハードな作業も難なくこなす。操作性に優れており燃費もいい……

 軽自動車を数多く扱うアメリカの中古車販売業者は軽トラ人気の理由を以下に分析する。

 「日本の軽トラが大人気で、注文に対して納車が追い付いていません。人気の理由は小さいボディに使いやすい荷台がついており機動性は最高です。そして、品質も素晴らしく、またアフターパーツの入手がしやすい。

 構造がシンプルで耐久性があるので25年~30年以上前のクルマでも全く問題なく使い続けることができます。これが、軽トラが支持される理由でしょうね。実用性を重視して買う人もいれば、これぞ日本車! これぞJDM! というイメージで日本車らしい、珍しいスタイルだから買う人もいます。

 なお、日本からの中古車に対して全般的に言えることですが、走行距離が短いこともクルマの価値を高めています。日本で30年使われている軽トラであっても驚くほど走行距離が少ない。

 輸出業者に聞いたことがありますが軽トラは日本では年を取った夫婦が農作業に使うことが多いそうですね。家と農場との往復に使うことが主なのであまり遠出をしないのでしょうか。高速道路も十分走れるパワーはありそうですが。

 また、新車の時から錆び防止の加工などがきちんとしてあって、毎回、軽トラを見るたびに感心します。そうそう、あとは日本から輸出する際、業者がクルマをキレイにしてくれるんですがこれが本当に助かります」

 実際に数か月前に軽トラを購入したカリフォルニア州の女性は農場で使っているという。

 「農場を見回るのにとても便利です。これまでは電動カートを使っていましたが軽トラにしてから作業効率がグンと上がりました。登録から25年を過ぎたクルマでも力強くグングン走ります。また5速MTというのもいいですね。運転が面白いです。長年AT車しか乗ってこなかったのでとても刺激的です。

 あの形がいいですね。収穫した農作物などをさっと荷台に載せられます。アメリカのピックアップトラックは大きすぎて、また荷台の位置が高く積み込むのも一苦労ですが軽トラックは荷台の位置が低く、三方向から詰めるのが凄いです。

 日本のメーカーは、本当に使う人の立場に立って設計しているのだなあと、いつも驚いています」。

■2021年から「解禁」のダイハツ・ミゼットIIの販売もスタート

1996年から生産されたミゼットIIは25年ルールが解禁されたのでアメリカでの販売、登録が可能になった
1996年から生産されたミゼットIIは25年ルールが解禁されたのでアメリカでの販売、登録が可能になった

 アメリカで人気の軽トラはスズキ・キャリー、ホンダ・アクティ、ダイハツ・ハイゼットがトップ3となっている。このほか、スバル・サンバーや三菱ミニキャブ、それぞれの「ダンプ仕様」「4WD」はとくに評価が高い。

 1991年登録の軽トラが160万円程度で販売されているのも珍しくない。一般的に価格は$6000~$8000が中心で、スカイラインGT-Rのような高騰はないだろう。

 また、なお、購入目的は少々異なりそうだが、2021年に25年ルール解禁となったばかりのダイハツ・ミゼットIIもこれからコレクターに人気が出そうだ。

 ミゼットIIは1996年から生産が開始されたので、早いものでは2021年、今年からアメリカへでの販売、登録が合法となる。

 2つの店舗合計で月に80台ものJDMを販売するヴァージニア州にある中古車販売店「ダンカンインポート」も早々にダイハツ・ミゼットIIの扱いを始めた。

 現在6台所有しているがうち4台はダンカン社長のプライベートコレクションで販売はされていない。販売されている2台は、それぞれ$7990と$11999の価格がついている。

 同社は日産フィガロの専門店としても有名でフィガロだけで在庫は200台以上。軽トラも数多く手掛けてきた。

 ミゼットIIは軽トラとして好まれるというよりも、その独特のデザインや見た目のインパクトでフィガロやパオなどのパイクカーと同様のイメージで好まれるという。つまりコレクターズアイテムとしてとらえられているのだろう。

 ところで、アメリカには「新車の軽トラ」も販売されていることをご存知だろうか? 一般的には「製造から25年経過していれば、アメリカの保安基準『FMVSS』や『EPA』(排ガス基準)の影響を受けることなく、アメリカに輸入して販売、一般オーナーへの登録が可能となる。

 それで、アメリカで販売されている軽トラは1990年~1996年製造までの車両がほとんどなのだが実際は新車の軽トラが販売されるのをたまに見かける。

 これは州によって判断が異なるところもあるようだが、軽トラをゴルフ場の電動カートなどと同様の扱いに限定するならば、25年を経ずとも新車の段階で輸入が可能になる方法で輸入したと思われる。ただし、時速は低速(約40km/h)までしか出ないよう設定する、高速道路には乗れないなど、様々な諸条件がある。

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