■最後の最後で大立ち回りのカーチェイス
ストーリーに戻ると、マフィアの被害はそれだけではない。車庫に置いていたもう一台の車、おそらく亡き妻の車だったに違いない白いレクサスRX400hも破壊される。
結局、ジョンは路線バスに乗って(なぜかバスもお似合いのキアヌ)、事情を知る車修理屋の工場に行き、新しい車を調達する。その車が1970年式シボレーシェベルSSハードトップ。あの『ワイルド・スピード』のドミニク(ヴィン・ディーゼル)の愛車と同じだ。
この車に乗ったジョンが向かうのはニューヨークのコンチネンタル・ホテル。暗殺者や殺し屋ら、闇の仕事人だけが宿泊出来る特別なホテルで、本作がスペシャルになった理由のひとつには、このホテルの存在がある。
宿泊する上での厳しい条件や、殺し屋ならではの特典、独特の人間関係が繰り広げられ、更にはオーナーの個性も活かされていて、今まで見たことのないユニークなアイテムになっているからだ。
わけあってジョンがこのホテルのオーナーから贈られるのは2011年式のダッジチャージャー。車が重要な存在だったものの、カーアクションといえるほどはなかった本作で、最後に大立ち回りを見せてくれるのがジョンの駆るこの車だ。
激しい雨が降る夜中、ニューヨークからの脱出を図るロシアマフィアのボスを港まで追いかける。相手の車は2台のシボレー・タホ。この1台をまず体当たりで落とし、ボスを追い詰める!
ジョンのダッジがどうなったかは、映画を観てのお楽しみだが、もっとカーアクションに特化したほうがいいという人にはシリーズ2作目となる『ジョン・ウィック:チャプター2』(17)がおススメ。映画の出来も素晴らしく、こちらも追ってご紹介したい。
●解説●
業界では知らない人はいない最強の殺し屋、ジョン・ウィック。引退していた彼が、愛犬を殺されたことで仕事に復帰。諸悪の根源となったロシアマフィアのボスの息子を地獄の底まで追い詰める!
スタントマン出身のチャド・スタエルスキの監督デビュー作となった本作はスマッシュヒットとなっただけでなく、高い評価も受けてシリーズ化。
『ジョン・ウィック:チャプター2』、『ジョン・ウィック:パラベラム』(19)が作られ、いま現在はシリーズ4作目になる『ジョン・ウィック:チャプター4』(原題)を撮影中。
実は本作、銃器にも強いこだわりがあり、その辺のアクション映画にはあまり登場したことのない種類が多数使われているそうだ。
ジョンが殺すのは全部で77人。上映時間が101分なので、何と63秒にひとり血祭りにあげている計算になる。これはかなり凄い。キアヌの銃の構え方や撃ち方が、ちゃんとシチュエーションによって変化しているのも監督のこだわりなんだと思う。
また、ジョンが愛車をドラフトしに行く駐機場に本を読んでいるガードマンがいるのだが、その本がトレヴェニアンの『シブミ』。日本の精神的美学に傾倒するロシア人の暗殺者を描いた作品で、『ジョン・ウィック』にも大きな影響を与えている。チャドの映画化したい小説のひとつでもあるのだ。
つまり、車のみならず、銃器や本にいたるまで、監督とキアヌの趣味とこだわりが詰まりまくった映画。何度観ても新しい発見がある。
『ジョン・ウィック』
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