クルマの電動化で今後はどうなる!? 激変するガソリンスタンド事情

クルマの電動化で今後はどうなる!? 激変するガソリンスタンド事情

 ガソリンスタンドが減少の一途を辿っている。近所のガソリンスタンドを思い浮かべてみても、「そういえば、あそこにあったスタンドが無くなってる……あっちのスタンドも……」と思い当たる人も多いだろう。

 なかには往復で数十分かかるガソリンスタンドまで給油に行くという人も珍しくない。携行缶を持参して買いだめして帰りたいところだが、最近ではそれもままならない所も増えてきた。

 ガソリンスタンドをめぐる事情を自動車評論家の国沢光宏氏が解説する。

※本稿は2021年11月のものです
文/国沢光宏
写真/AdobeStock(トップ写真=Carolyn Franks@AdobeStock) ほか
初出:『ベストカー』2021年12月10日号

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■1997→2021でガソリンスタンドの数は半分に 「給油難民」増加がEVへのシフトを加速

1997年時点での全国のガソリンスタンドの数は6万店を割り込むあたり。2021年現在では2万9000ほど。1997年のおよそ半分となってしまった(beeboys@AdobeStock)

 資源エネルギー庁がガソリンスタンドの数を毎年発表しているのだけれど、令和2年度(2021年3月末)のデータを見て驚いた! 昨年より632店も減っている。

 ちなみに全国で2万9005店となった。5年前の数字を探すと3万2333店なので、10%に相当する3300店が廃業してしまったワケ。大雑把な数字でいえば1997年に二酸化炭素削減で盛り上がったあたりで6万店を割り込み、2009年のリーマンショックで3万店台突入といった具合。

 初代プリウス発表になった頃は今の2倍以上のガソリンスタンドが存在したということになる。おそらく読者諸兄の家の周囲も半分くらいに減ったんじゃなかろうか。今やガソリンを入れに行くため往復で30分以上かかるような地域も珍しくない。

 こう書くと「だったらガソリン携行缶を持って行って買いだめすればいいのでは?」と思うかもしれない。これまた非常に難しくなっている。驚いたことに法規対応の携行缶を持って行っても拒否されてしまうケースが出てきたからです。

 参考までに書いておくと、従来もセルフのスタンドでは客が自ら携行缶にガソリンを入れられなかった。店員さんに声を掛け、入れてもらうことになる(京都のアニメ会社放火事件のあと、免許証などで本人確認を求められるようになった)。

 ところが! 先日出光興産のWebサイトを見たら「当社系列のセルフのサービスステーションでは、スタッフがお客様に代わって容器へ注油することもお断りしています」。完全拒否になってしまったのである。

最近では法規対応の携行缶を持参しても拒否されるケースが目立ってきた。系列によってはwebサイトに携行缶への給油お断りを明確に表記するところもある(Paylessimages@AdobeStock)

 考えていただきたい。皆さんの近所にセルフじゃないスタンド、ありますか? そして困ったことにフルサービスのスタンド、急激に減少している。災害時用に携帯発電機を準備しても、ガソリンを売ってくれないという本末転倒な状況になってきてしまった。

 ガソリンは生活必需品だと思うのだけれど、どうやら経産省はそういった概念を持っていない。スタンドが「携行缶に入れない」と言っても許している。さらにスタンド減っても携行缶対応すらできない。

 今後どうなるか? 新型車の燃費はドンドンよくなるため、ガソリン消費量が減少していく。5年すれば電気自動車の販売台数も増えてくるだろうから、一段とスタンドの経営は厳しくなるだろう。

 かといって利益率を上げようとしたらガソリン価格が高くなり、エネルギーコストの安い電気自動車に乗り換える動きを加速させる。私の大雑把な予想だと、2035年になったらスタンドの数は今の半分以下。人口密度の少ない地域ほどスタンドが減ると思う。

 ここにきて電気自動車の否定論も出てきた。日本人、否定の論議をするのが大好きです。第2次世界大戦末期、とっととプロペラ機に見切りを付け、ジェット機の開発に着手した欧米と鮮やかに違う。

 スタンド数の減少を考えたら、人口密度の低い地域から電気自動車になっていくだろう。戸建て住居ならクルマのガレージ分の太陽光発電パネルだけで年間の走行距離くらいの電力を作れますから。

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