一般ユーザーが自分の技量の範疇で楽しめる
現行スイフトが登場したのは2016年のこと。その翌年の9月、現行スイフトスポーツ(4代目)が国内市場へ登場した。140ps/23.4kgmを発生する1.4リットルのガソリン直噴ターボを搭載し、970kgという軽量ボディを、6MTもしくは6速ATで軽々と走らせる。車両価格は187万円から、という圧倒的な低価格だ。
この圧倒的な低価格のワケ、それは、スイフトスポーツの目標性能が独特であることにある。純粋に「操る楽しさ」を求めたクルマつくりがされており、タイムの速さや、加速度の高さを提供することよりも、クルマを期待通りに操ることができ、いつも走っている道なのに、なぜか楽しく感じることができる、そういった感覚を目指したクルマづくりがされているのだ。
絶対的なエンジンパワーを上げ、それに見合った高剛性サスペンションや強靭な車体で武装するのではなく、適度なエンジンパワーに見合ったコンパクトなボディ構造と、シンプルで軽量なサスペンションを使うことで、自身の技量の範疇で操ることができる。これが、スイフトスポーツが「安くて楽しい」理由なのだろう。
スイフトスポーツはまた、シンプルな車両構成のおかげで、スポーツ走行を好むヘビーなユーザーだけでなく、ライトなユーザーにとっても乗りやすいモデルだ。その気になれば、速くも走れるし、カスタムパーツも多くあるので、いじる楽しみも存分にある。
万人に「楽しい」を提供することは非常に難しいと思うが、だからこそ、スポーツカー不遇の時代に、この低価格で続けられているスイフトスポーツは、たいへん貴重な存在だといえる。
守るべきは守り、取り入れるべきは取り入れる
とはいえ、スイフトスポーツは、「いにしえのスポーツカーの概念」に取り残されているわけではなく、時代の需要に応じて、進化を続けている。
2020年には、海外向けに「スイフトスポーツハイブリッド」を発表。1.4リットル直列4気筒ターボエンジンに、リチウムイオン電池とISG(インテグレート・スターター・ジェネレーター)、48V-12Vコンバーターを用いた、48Vハイブリッドシステムが組み合わされたモデルだ。スイフトのマイルドハイブリッドと比べると、4倍ものモーターアシストが可能となっている。
また、スイフトスポーツには6速MT仕様にもACC(アダプティブクルーズコントロール)が搭載されている。誤発進抑制機能や車線逸脱抑制機能といったセーフティパッケージや、全方位モニター用カメラパッケージもオプションで設定。それらのオプションをフル搭載しても、車両価格は税込202.6万円、これまた驚かされる価格である。
ちなみに、欧州などで販売されるものを含めた全車が、静岡県牧之原市にあるスズキ相良工場製であることも、日本でスイフトスポーツが安く提供される理由のひとつ。200万円以下で買える奇跡のスポーツカー「スイフトスポーツ」は、まさに日本の至宝だ。
【画像ギャラリー】日本が誇る奇跡のライトウェイトスポーツ スズキ「スイフトスポーツ」とそのベースモデル「スイフト」の全歴史(27枚)画像ギャラリー
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