ハイブリッドはシステムの種類による
トランスミッションを使わない流れは、確実にハイブリッド車にも広がっています。現在、ハイブリッド車でトランスミッションを搭載しているのは、トヨタのレクサスLS、LC、クラウンと日産のフーガ、シーマ、スカイラインといった、高級FRモデルに限られ、その他のハイブリッドモデルには搭載されていません。
トランスミッションが必要かどうかは、基本的にはハイブリッドシステムの違いによって決まります。
・シリーズ方式ハイブリッド
エンジンは発電専用で、タイヤはモーターのみで駆動。エンジンは、常時効率のいい条件で運転できるので、トランスミッションは不要。代表例は、日産の「e-POWER」です。
・パラレル方式ハイブリッド
エンジンとモーターの両方でタイヤを駆動。基本的に、エンジン主導なのでトランスミッションが必要。代表例は、日産のフーガなどで採用されているFR用ハイブリッドや、軽自動車で採用されているマイルドハイブリッドです。
・シリーズハイブリッド方式ハイブリッド
エンジンの出力を駆動と発電に分割するシステムで、通常は電気式無段変速機を採用しているので、トランスミッションは不要。代表例は、トヨタのTHSやホンダのe:HEVです。
「電気式無段変速機」とは、トヨタTHSでは遊星ギアによる分割機構によって、ホンダe:HEVは発電機とモーターの制御によって、トランスミッションを使わずに駆動軸の回転速度を無段変速するシステムです。
今後、燃費(CO2)低減のため、モーター主導で走行するハイブリッド車が増えることを想定すると、ハイブリッド車でもトランスミッションの役割は小さくなるでしょう。
現在は、バッテリーEVであれば脱炭素社会に貢献している、ハイブリッド車であれば燃費がいい、ということに目がいきがちですが、今後さらに電動車が普及すれば、それだけでは差別化は難しく、何らかの付加価値が必要となってきます。そこに、優れた走行性能や、長い航続距離といったものが使われるようになれば、いまのトランスミッションとは異なる機構かもしれませんが、変速機構が再び注目される日が来る、と考えられます。
◆ ◆ ◆
電動化が進む中、トランスミッションはただ消えていこうとしているわけではありません。エンジンと同様、電動パワーユニットでも高性能と省エネというテーマは永遠であり、トランスミッションはそれをサポートする名脇役として、今後重要な役目を任される可能性があります。今後の技術進化に注目です。
【画像ギャラリー】いま買うことができるのは、この5台!! 国内メーカーのバッテリーEVたち(43枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方