2021年のトヨタは、ランドクルーザー・アクア・GR 86などがモデルチェンジし、カローラクロスが誕生した。新型車が登場するいっぽうで、姿を消したクルマもある。
プレミオ・アリオン、そしてプリウスαという、トヨタの販売に大きく貢献した3台が、生産終了となった2021年。この3台の消滅からは、時代の変化やニーズの変化を大きく感じる。3台の功績を振り返りながら、変化を続けるクルマへのニーズを考えていく。
文/佐々木 亘、写真/TOYOTA
■当たり前だった「5ナンバーセダン」が消えかけている
セダンの売り上げは全盛期に比べれば下火だが、いつの時代も底堅い。しかし、代表的なクラウン・カムリ・カローラなどを残し、ここ数年でトヨタのセダンの多くが姿を消した。
高級車や大型車の多いトヨペット店・トヨタ店で、小型車販売の下支えをしていたプレミオ・アリオンは、全チャネル併売化後も、兄弟どちらかが残るだろうと思っていた。しかし、両車フェードアウトしたのには驚いた。
カローラは3ナンバー化し、5ナンバーセダンは商用量販をメインにしたアクシオだけだ。日本が大切に守ってきた5ナンバーセダン文化の終焉が、ここに見える。
一時は、クルマの代名詞でもあった5ナンバーセダン。初めて買うクルマも、家族で乗るクルマも、セカンドライフで乗るクルマも、ほぼすべてが5ナンバーセダンで事足りた。
そんな時代に、カローラでは物足りない、でもクラウンだと行き過ぎる、こうしたユーザーが少しだけ贅沢をした、プレミオ・アリオンはよく売れたセダンだ。
経済の再生、社会不安の解消が進んでいけば、もう一度セダンを必要とする時代が来ると思うのだが。その時に5ナンバーセダン、プレミオ・アリオンの姿がないのは、少々寂しく思う。
■ユーザーに我慢をさせないクルマをつくる
プリウスの派生車として登場したプリウスα。プリウスにはない居住性の高さと3列シートを売りに、販売を拡大した。一時は年間10万台以上を売り上げた超人気車種だ。
30系プリウスは、燃費のよさが際立ったが、クルマの質感や利便性という面では難があった。ハイブリッドを選ぶために、我慢を強いられたユーザーへ向けて登場したのがプリウスαなのである。
プリウスαは、プリウスの全長を伸ばし、Cピラーの角度を立ち上げ3列シートを配置した。バネ上制振制御を初めて搭載し、プリウスの課題であった車内空間はもちろん、乗り心地の向上にまで手を加えている。
また、ハイブリットの汎用性を一気に高めたのもプリウスαの功績だ。プリウスαの登場後、ミニバン・SUV・コンパクトにまで、ハイブリッド車は広がりを見せ、トヨタ車であればハイブリットであることは当たり前と言える状態になった。
そして、車種の選択肢が広くなり、ハイブリットで車種選びを我慢することがなくなったユーザーは、次第にプリウスαから離れていくことになる。
派生車が大活躍することが珍しいトヨタで、期待以上の働きをし、今のハイブリッド帝国を作り出すきっかけとなったプリウスαは、トヨタの大きな功労車だ。
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