毎年、さまざまな新車が華々しくデビューを飾るその影で、ひっそりと姿を消す車もある。
時代の先を行き過ぎた車、当初は好調だったものの、市場の変化でユーザーの支持を失った車など、消えゆく車の事情はさまざま。
しかし、こうした生産終了車の果敢なチャレンジのうえに、現在の成功したモデルの数々があるといっても過言ではありません。
訳あって生産終了したモデルの数々を振り返る本企画、今回はスバル プレオ(1998-2010 ※OEM移行前まで)をご紹介します。
文/伊達軍曹 写真/SUBARU
【画像ギャラリー】プレオ・ステラを中心にスバル名作軽の系譜をギャラリーでチェック!(29枚)画像ギャラリー■軽規格の改定に伴い生産終了となった「名作」ヴィヴィオの後を継ぎ登場
1998年10月の軽規格改定時に、名作「ヴィヴィオ」の拡張版(軽トールワゴン版)として誕生。コアなスバリストからの賛否両論はあったもものの、ヴィヴィオ譲りの硬派なメカニズムにより、基本的には好評を博した。
その後、「R2」の登場に伴ってラインナップを大幅に縮小したが、R2の壊滅的な販売不振を受けて再びラインナップを拡張。
そして実質的な後継モデルである「ステラ」の登場後も、さらにはスバルが軽自動車の独自開発中止を発表して以降も、2010年までは細々と生産され続けた、スバル製軽自動車としては最後の本格派。
それが、スバル プレオです。
1998年10月に軽自動車が新規格に移行した際、何かと余力があったスズキとダイハツ、三菱は、軽トールワゴンと昔ながらの軽セダン/軽ボンネットバンを並行生産しつつ、さらには派生モデルの開発も行いました。
しかしそのような余力はなかったスバルは、名作と呼ばれたヴィヴィオのプラットフォームを流用しつつルーフを高くして、軽トールワゴン的なフォルムとした「スバル プレオ」の一本足打法で勝負することになりました。
搭載エンジンは全車660ccの直列4気筒ですが、その中身はベーシックなSOHC自然吸気と、リッターカー並みの動力性能を有するというSOHC+低圧スーパーチャージャー、スポーティなSOHC+高圧スーパーチャージャー、そして高性能なDOHC+高圧スーパーチャージャーの4種類に分かれています。
足回りはそれまでどおりクラス唯一となる4輪独懸架で、トランスミッションは5MTとi-CVT。上級グレードのCVTには7速スポーツシフト(擬似的なマニュアルモード)も採用されました。
2003年12月にスバル渾身の意欲作「R2」が発売されると、スバル プレオはグレードラインナップを大幅に縮小し、ベーシックな「F」と商用バンである「A」のみに絞りました。スバルとしてはそのままR2を「プレオの実質的な後継モデル」にするつもりだったのでしょう。
しかし意欲作であったR2は、あまりにも意欲的だったせいか、壊滅的なまでに売れませんでした。
そのためスバルは、販売終了となっていたプレオの中間グレード「L」を翌2005年1月に急きょ復活登板させ、同年10月には、特別仕様車としていた「F Limited」「F type S」「L type S」をカタログモデルに昇格させる措置を取りました。
そして2006年5月に事実上の後継モデルである「スバル ステラ」が発売されると、再びグレードを「FとAの2種類だけ」に戻しましたが、それでも乗用ベーシックグレードのFは2007年6月まで販売されました。
しかし最後まで残った商用バン「A」も、2010年3月には生産終了に。2代目のプレオは、スバルの自社開発車ではなく「ダイハツ ミラのOEM供給車」が販売されることと相成りました。
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