これぞスバル渾身の本格派軽! プレオが辿った数奇な運命

■まずまずの人気を獲得も プレオ消滅の必然

 名作軽自動車「ヴィヴィオ」のプラットフォームを流用し、軽トールワゴンでありながらシュアな走りも楽しめるということで一定の人気を博したスバル プレオが、発売から8年後には「ステラ」への実質的な代替わりをしなければならなかった理由。

 それは直接的には、プレオはつい先ほど申し上げた「ヴィヴィオのプラットフォームを流用」した改良版であったからにほかなりません。

 スバル ヴィヴィオは旧規格の素晴らしい軽自動車であり、その改良版であるスバル プレオも、なかなか素晴らしい軽自動車であったことは間違いありません。

 とはいえプレオは1992年に登場した車ですので、その基本設計をいつまでも使い続けるわけにもいきません。走りウンヌンよりも「居住性や使い勝手の良さ」を求める軽自動車のメインユーザー層のニーズを満たすためには、もっと新しい車台が必要だったのです。

 そのためスバルは2006年5月にプレオの販売を終了……はしませんでしたが、プレオの販売グレードを最廉価グレードとバンだけに絞り、その代わりとして、走りウンヌンは特に重視していない作りの新作軽トールワゴン「ステラ」を登場させます。

スバル ステラ(2006-2011)。メインターゲットを女性に絞り広い室内空間を実現。乗り心地、燃費、安全性の向上が図られながら、機械式立体駐車場への入庫はできないなど使い勝手の面でちぐはぐな面も。2011年5月に初代の販売を終了、スバルの自社生産車としては最後の軽となった
スバル ステラ(2006-2011)。メインターゲットを女性に絞り広い室内空間を実現。乗り心地、燃費、安全性の向上が図られながら、機械式立体駐車場への入庫はできないなど使い勝手の面でちぐはぐな面も。2011年5月に初代の販売を終了、スバルの自社生産車としては最後の軽となった

 まぁそんなステラも今ひとつパッとせず、もちろんディープなスバリストからは見向きもされず、2011年4月には生産を終えることになります。というか、そもそもスバルは2008年4月に、軽自動車の自社開発と生産を断念することを発表したわけですが。

 以上のとおりの流れのなかで誕生し、そして消えていったスバル プレオ。それは「スバルR2」が登場した時点で、本来ならば消滅してしかるべき軽自動車でした。

 しかし市場は、軽自動車の価値を「広さと高さ」ではなく「走りとデザイン」であるとしたR2に「No!」と言い、その結果としてプレオは図らずも延命され、2007年まで(バンは2010年まで)細々と販売され続けることになりました。

 そんなスバル プレオに対してもしもかけるべき言葉があるとしたら、それは「残念だった……」ではなく「……お疲れさまでした!」というニュアンスになるはずです。

■スバル プレオ(初代)主要諸元
・全長×全幅×全高:3395mm×1475mm×1625mm
・ホイールベース:2310mm
・車重:860kg
・エンジン:直列4気筒DOHC+スーパーチャージャー、658cc
・最高出力:64ps/6000rpm
・最大トルク:10.1kgm/3200rpm
・燃費:16.6km/L(10・15モード)
・価格:126万5000円(1998年式 RS)

【画像ギャラリー】プレオ・ステラを中心にスバル名作軽の系譜をギャラリーでチェック!(29枚)画像ギャラリー

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