認定の要件とインセンティブ
Gマークを取得するには3つのテーマに分かれた38項目で評価を行ない、101点満点中80点以上(令和3年度時点)を取るとともに、社会保険等に適正に加入していることが要件となる。
3つのテーマとは「安全性に対する法令の遵守状況」(テーマI、配点40)、「事故や違反の状況」(テーマII、配点40)、「安全性に対する取組の積極性」(テーマIII、配点21)。合計点の他に各テーマごとに設定される基準点を満たす必要がある。
具体的な評価項目は、例えば次のようなものだ。
- 事故記録が適正に記録され、保存されているか(I)
- 過労防止を配慮した勤務時間、乗務時間を定め、これを基に乗務割が作成され、休憩時間、睡眠のための時間が適正に管理されているか(I)
- 過積載による運送を行なっていないか(I)
- 定期点検基準を作成し、これに基づき、適正に点検・整備を行い、点検整備記録簿等が保存されているか(I)
- 運輸安全マネジメントを的確に実施し、輸送の安全に関する計画の作成、実行、評価及び改善の一連の過程を円滑に進めているか(I)
- 過去3年間に第一当事者(加害者)となる事故はないか(II)
- 行政処分はないか。ある場合は累積点数は何点か(II)
- 事業所内で安全対策会議を定期的に実施している(III)
- 自社内独自の運転者研修等を実施している(III)
- 外部の研修機関・研修会へ運転者等を派遣している(III)
すべての要件を満たして安全性優良事業所に認定されると、国交省等からさまざまなインセンティブが付与される。例えば違反点数の消去が3年から2年に短縮されたり、IT点呼や他営業所・グループ企業間など点呼の優遇、特殊車両通行許可の有効期間延長などがある。 また、全ト協からは安全教育に係る特別研修やアルコール検知器の導入などの助成が優遇されるほか、一部の損害保険会社は保険料の割引を適用している。
トラックの安全性向上はメリットが大きい
もちろん一度取得して終わりではなく、有効期限が定められており(ステッカーに印刷されている)、新規は2年間、初回更新は3年、2回目以降の更新は4年間となる。
更新時は再度評価を受ける必要があり、また、10年連続で取得すると国交省表彰の対象となるなど、事業者には継続した努力が求められる。いっぽう審査に合格しなかった事業所に対しても評価結果が通知されるので、重点的に取り組むべき項目がわかるようになっている。
車体の大きなトラックはひとたび事故を起こせば重大事故に発展しかねない。認定ステッカーなど目に見える形で安全運転を励行するトラックが増えていることがわかる「Gマーク」は、運送業だけでなく、荷主や一般消費者からも歓迎されている。
また、評価項目には乗務員の休憩や労働時間など労働環境に関するものもあるため、働く側に取っても安心材料となる。「ドライバー不足」が続く中、運送会社と荷主、ドライバー、そして社会全体にとっても意義のある制度と言えそうだ。
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