新型ステップワゴンは「シンプルすぎるデザインが心配」
新型ステップワゴンは、より奇抜となった新型ノア/ヴォクシーとは逆に、よりシンプルなエクステリアとなった。直線基調で高いベルトラインのボディシェイプや四角いヘッドライト、縦型のテールライトといった細部のデザインは、初代や2代目のステップワゴンをモチーフにしているようにみえる。
インテリアでは、使い勝手が重視されており、Aピラーの根元を後退させたことで、この手のミニバンに多い、フロントウィンドウの遠さがやや解消されている。この「視界の良さ」は強い味方となるはずだ。
新型ステップワゴンに関しては、1月7日に行われたのオンラインジャパンプレミアで、内外装デザインと、e:HEVの搭載といった大まかな情報は明らかにされたが、ガソリンエンジン車の有無や詳細なメカニズム、車両価格など、具体的な内容については現時点(1/25)未発表。
発売も2022年5月ごろからと、まだ少し先となるため、新型の競争力に関して明確なことがいえる状況ではないが、デザインがシンプルにまとめすぎなのでは…という心配がある。
やはり、この手のミニバンの現時点の正解は、新型ノア/ヴォクシーのような「派手目のフェイス」だ。シンプルでも惹きつけられるような印象的なデザインが実現できていれば魅力的なモデルとなると思うが、新型ステップワゴンを写真で見る限りは、それが実現できているかどうか微妙。
インテリアも、ハニカム形状のエアコングリル(新型シビックと同じ)を使った点は、ハードな印象を与えたいのか、シンプルクリーンな印象を目指したいのか、チグハグに感じてしまう。
スパーダの上級グレード「PREMIUM LINE(プレミアムライン)」や、アフターエアロパーツといったカスタムパーツが前提ならば、今よりも「強面」になるかもしれない。現時点わかっている情報では、厳しい戦いとなりそうな新型ステップワゴンだが、正式発表でこれらを挽回する内容が発表されることを期待したい。
次期型セレナは「質感高いインテリアと新世代e-POWERがカギ」
現行セレナが登場したのは、2016年7月のこと。今年の7月で6年目に突入するモデルだ。2017年のe-POWER追加で、一躍人気ミニバンとなった。発電用の1.2リットル3気筒エンジンと、最大出力136ps、32.6kgf・mを誇るモーターで、重たいボディを力強く駆動する。また、現在は当たり前となった装備ではあるが、2017年のデビュー時に、プロパイロットがいち早く搭載されたのがセレナだった。
セレナ独自の特徴は、やはり人気ミニバンへと躍進するカギとなった「e-POWER」だ。現行ノートに搭載された第2世代e-POWERは、動力性能と燃費性能の両立を果たし、更に質感の高いハイブリッドシステムへと進化している。このユニットが次期型セレナに搭載されることは間違いないだろうが、それだけでは、新型ノア/ヴォクシーや新型ステップワゴンと戦い、勝ち抜くことができる武器としては足りていない。
そこで期待したいのがインテリアだ。ノートやアリア、ノートオーラといった最近の日産の新型車のインテリアは、かなり魅力的になった。和モダンとデジタルを融合した路線のインテリアは評判が良く、次期型セレナにもこの要素が加われば、新型ノア/ヴォクシーにも負けない強力な武器となる。新型ノア/ヴォクシーも新型ステップワゴンも踏み込んで来なかった「フルデジタルメーター」を、200万円台前半のノートで導入してきた日産。それくらいの思い切りがあってこそ、超激戦区のミドルクラスミニバンジャンルで、購買意欲をくすぐることができる。
そして最後にフロントフェイスを「外さない」ことだ。新型ヴォクシーが攻めたアウト側と、新型ステップワゴンが攻めたイン側、その真ん中の新型ノア。セレナが狙うのは、新型ノアと新型ヴォクシーの中間か、新型ステップワゴンと新型ノアの中間だ。アリア顔が新型車の定番となりつつある日産だが、次期型セレナで新たな路線のフェイスにチャレンジできるかは、非常に楽しみだ。
FMCサイクルだと2023年初頭が次期型の登場タイミングとなるセレナ。トヨタとホンダに対して最後発となるが、その後れをはねのけるような魅力的なモデルで登場することを期待している。
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