■LEDヘッドランプの雪対策はどうするべきか
ハロゲンバルブのほうが雪に強いと言っても、光量や消費電力、さらにはキメ細かい配光などを実現するLEDからハロゲンバルブに戻すような動きが起こるとは考えにくい。
しかしコストの問題もあってフォグランプはハロゲンバルブを使う車種もある。これによって降雪時のライトを確保する、という考えもあるようだ。
またクルマによっては、バンパーに内蔵されているヘッドライトウォッシャーが役立つと思われているようだ。しかしあれは、雨天走行後などにヘッドライトが汚れていた場合に作動させて、ライトのレンズ表面の汚れを落とすもので、雪を溶かすほどの能力はない。
ウォッシャー液を不凍タイプにしても、降雪時にはノズルのカバーがバンパーと凍り付いて作動しなくなってしまうこともあるため、あまり期待しないほうがいいだろう。
乗り込む際には灯火類だけでも雪を取り除いたり、解氷スプレーをヘッドライトにもスプレーして溶けやすくするなど自分で出来る対策は行なったほうがいい。
撥水効果のあるコーディングをヘッドライトレンズに施して、その上に解氷スプレーをすれば、よりヘッドライトに積もる雪は解消されるが、それでも効果は限定的だ。ライト周辺のボディもツルツルの撥水コーティングをして、雪が積もりにくくするのも対策にはなる。
アフターマーケットではヘッドライトやテールランプに貼り付けるタイプのヒーターが登場している。しかし汎用(デンソー製は車種が限定されている)なため、車種によって効果は差があるようだ。それでもヒーターなしよりは確実に効果はあるハズ。
それにヒーター部分はそれほど耐久性はないようなので(メーカーは1年で交換が推奨している)、数年後にはさらに改良された製品が登場することを期待して、まずは現行品を雪国のドライバーは導入してみてはいかがだろう。
自動車メーカーが用意する寒冷地仕様車ではヒーターやバッテリー、オルタネータが大型化されているほか、ワイパーとフロントウインドウが凍り付いてしまった場合に溶かすデアイサー(専用のヒーター)などが追加装備されるクルマもある。
SUVなど走破性を重視したクルマの寒冷地仕様車は今後、ヘッドライトにもヒーターを装備するようになるのではないだろうか。
すでにヒーター素材として薄膜の発熱コーティング剤も開発されているから、そうした工夫がランプメーカーによって施されることになるだろう。
あるいは寒冷地仕様車にはヘッドライトレンズに熱伝導の高い樹脂素材を使い、裏側にエンジンの冷却水を導入してやることで排熱利用のヘッドライトヒーターを実現することもできるかもしれない。
気候変動によって暖冬になりつつあるが、日本海側は大雪になりやすい傾向にある。灯火類の雪対策は、自動車メーカーに急務としてほしいところだ。
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