新型軽EVが「生」で幕張メッセに登場!! 三菱&日産軽EVの実力と可能性

バッテリー容量は「軽の使い方」を考慮して

 「K-EV concept X Style」の駆動用バッテリーは、フロントシートの下側から、本来燃料タンクがある付近まで積載されていた。リーフの半分となるこの駆動用バッテリーでの航続距離は、リーフの航続可能距離がカタログ値で322km(WLTCモード)であることと、軽自動車という軽い車重を考慮すれば、180~200km程度(カタログ値)になるはずだ。

 この航続可能距離について、三菱自動車国内営業本部 車種第一グループ マネージャーの吉川省吾氏に伺ったところ、「軽EVの満充電での航続可能距離に関しては、現時点ではお答えできないが、軽自動車ユーザーのクルマの利用実態は、日々の足グルマとして、往復数km以内の買い物や病院、役所、友人宅を行き来するような使い方がとても多いです。

 都心から離れた郊外となると、軽自動車はセカンドカー、サードカーとなり、ミニバンなどの大きめの乗用車をファーストカーとして持っており、遠出はそうしたクルマで移動します。軽EVでは、ユーザーの使い方を加味した適切なバッテリー容量に設定し、適切なコスト、電費となるよう、詳細に設定しております。」とのことだ。

 三菱としては、長距離を移動する場合には、クルマの製造段階から含めたCO2発生量が、バッテリーEVよりも抑えられるプラグインハイブリッドが適しており、その答えの例として、「アウトランダーPHEV」を用意しているという。

 筆者も、全車種バッテリーEV化がカーボンニュートラル実現のための唯一の答えではないと考えている。近距離移動に使われる軽はバッテリーEVに、長距離も移動する場合には燃費の良いクリーンディーゼルやストロングハイブリッド(プラグイン含む)と、使い分けるのが解だと思う。この点に関しては、非常に安心した。

充電コネクタは、これまで給油口だったところを改造している
充電コネクタは、これまで給油口だったところを改造している

中身は同じ軽EV、違うのは戦略か!? コストの問題か!?

 日産は、業績不振や不祥事といったよくないイメージから脱却するため、目下、ブランドイメージの回復に取組中だ。ブランドアイコンを変更し、長らく続けてきたVモーショングリルから、アリアやノート、ノートオーラ共通の新グリル形状や、日本向けキャラバンや、ナバラ、フロンティアといった海外向け日産車が採用し始めたインターロックグリルへとフェイスチェンジを行い、「企業イメージの刷新」を印象付けている。

 三菱はというと、デリカD:5を筆頭に、ひと目見てすぐに三菱車だと分かるよう、ダイナミックシールドコンセプトに基づくブランドフェイスを増産中だ。アウトランダーPHEV、エクリプスクロスPHEV、ミラージュ、eKクロスなど、直ぐに分かるファミリーフェイスで、統一している。

 今回の軽EVも、ダイナミックシールドコンセプトに基づく新しいフェイスを用意しようと思えばできたのだろうが、前出の佐藤氏がいうとおり軽EVを特別視せず、eKクロスのパワートレイン違いといった感覚で提供しよう、と考えたのだろう。

 ただ、「軽EV」という新しい乗り物(i-MiEVという開拓者はいたが)をいち早く手に入れたいと思うアーリーアダプターにはどちらが刺さるか、と考えると、筆者としてはやや不安に感じてしまう。販売台数が見込める日産とは違い、コストが見合わなかったのかもしれないが、チャレンジを見てみたかった。2022年4月、新たな軽EVが登場する日本市場、非常に楽しみだ。

【画像ギャラリー】東京オートサロン2022で展示された三菱「K-EV concept X Style」と東京モーターショー2019で登場した日産「IMk」、かつて販売されていた三菱の軽EV「i-MiEV」(30枚)画像ギャラリー

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