いつの間にか「ゴルファー憧れのクルマ」に!? 石の上にも15年 マツダのブランドイメージ激上がり説を検証する

いつの間にか「ゴルファー憧れのクルマ」に!? 石の上にも15年 マツダのブランドイメージ激上がり説を検証する

 Tポイントジャパン社が一般ゴルファーを対象にした「ゴルフに関するアンケート調査」を実施し、興味深い結果が出た。

「乗っているクルマ、乗りたいクルマ」に関する質問で、20代、30代、40代、50代男性の回答すべてにテスラやベンツ、BMWなどと並んでマツダが入っているのだ。

 マツダのブランドイメージがテスラや欧州御三家、レクサスなどと並ぶところまで上がってきているということ。地道に続けてきた マツダのブランドイメージ向上策が成果を出していることの、ひとつの証明と言えるだろう。

 ロータリースポーツはあるものの、どこか垢抜けなかった(失礼!)昔のマツダ。その頃を知る者として感慨深いのが、近年のマツダのイメージがガラリと変わってきていることだ。

 なぜ今、マツダのブランドイメージが大きく上がっているのかを検証する。

※本稿は2021年12月のものです
文/池田直渡、ベストカー編集部、写真/MAZDA、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年1月26日号

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■改革は2006年から始まっていた!

(TEXT/ベストカー編集部)

2010年発表の魂動デザインコンセプト&デザインモデル「SHINARI」
2010年発表の魂動デザインコンセプト&デザインモデル「SHINARI」

 2012年にフルSKYACTIV&魂動デザイン第1弾の初代CX-5が登場し、マツダのイメージが変わったのは誰もが認めるところだろう。

 しかし、その前からマツダの改革は始まっていた。2006年に10年後のありたい姿を掲げた「2015年ビジョン活動」(通称)を全社で共有したことが大きな転換点になったのだ。

 「これまで浮き沈みを繰り返してきたマツダはどうすれば安定できるのか? 何かを始めてもダメなら捨ててきた歴史を反省し、バックキャスティング(未来のあるべき姿から考える)でこれからの方針を決めたのが今に繋がっています」(マツダ広報。以下コメントはすべて同じ)

 ここから要素技術をすべて変える活動が始まる。2008年のリーマンショックでも計画は変えず、株式の公募増資を実施してSKYACTIVテクノロジーを推進する資金を調達。同時にクルマのカテゴリーやセグメントに関係なく一括で開発、生産を行えるコモンアーキテクチャー、フレキシブル生産を推進した。

 その後も日常ユースでの人馬一体感を追求し、理想的なドライビングポジション、ペダルレイアウトを磨き上げるなど地道な改善を継続。派手な新技術はなくても、ユーザーがいいクルマだと実感できるクルマ作りにこだわり続けた。

米国コンシューマーレポート誌「2021年の自動車ブランド別 総合ランキング」ベスト10
米国コンシューマーレポート誌「2021年の自動車ブランド別 総合ランキング」ベスト10

「10年後を見据えて開発、生産領域が議論を始め、それが販売やマーケティングに波及しました。それまでも目標は立てていましたが、全社で共有できていなかった。でも、これを機に『お客様を笑顔にするにはどうするべきか』を会社全体で考えるようになって、クルマ作りが変わったんです」

 2006年に策定されたこの計画が、マツダの新たなコーポレートビジョンとして公表されたのは実に9年後の2015年。その間にマツダは同じ目標に向かう集団に変貌を遂げていたのである。

 そのひとつの成果が米国コンシューマーレポート誌の高評価だ。2021年の「自動車ブランド別総合ランキング」で世界の競合メーカーを退け、初の1位を獲得したのだ。

 「マツダはどのクルマにも一定レベル以上の商品力がある」というのがその理由だが、それはまさしくマツダが目指してきたもの。米国で言えばCX-30からCX-9まで、すべてのセグメントで統一された操縦感覚、燃費性能、安全装備が保証されている。

 もちろん、それは日本のマツダ車でも同じこと。2019年に車名を世界統一ネームに替えたのも狙いはそこにあったのだ。

販売会社を魅力的な職場に

 魅力的な商品がブランドイメージの向上に直結するのは言うまでもない。しかし、それと同じくらいに重要なのはユーザーと直接繋がっている販売店で、マツダはそこの改革も行ってきた。

 マツダのデザイン本部が監修し、2013年から新世代店舗を展開。現在では全体の2割にあたる約180店舗が新しいシックなデザインに建て替えられているが、店の雰囲気を変えるだけでなく、販売店での働き方と働く人たちのマインドチェンジも進めた。

 具体的には、クルマのコネクテッド技術を活かして整備領域の業務を減少させ、その時間をユーザー対応時間にあててサービスを向上。

 また、報酬システムも個人の成績からチームの成果を重視する評価方法に変えてチームワークを向上させた。「販売会社を魅力的な職場にする」をキーワードにさまざまな改革を行ってきたのだ。

 また、販売したマツダ車の残価率を上げるための施策も次々と投入したほか、積極的な年次改良も実施。「古くなったから買い換える」ではなく「新しいクルマが出たから買い換える」というサイクルを確立した。

 これらの改革により、マツダ車のブランドイメージは向上。企画、開発、生産、販売、そして販売後のサービスと、すべての領域が大きくレベルアップしたのである。

 2006年に始まった企業改革で、マツダは目先の利益ではなく先を見据えて階段を上がっていく会社になった。実に15年の歳月をかけて、コツコツとブランドイメージを向上させてきたのである。

 これからは今のマツダしか知らない世代がユーザーの中心層になっていく。世界のプレミアムブランドにも劣らないブランドイメージを持つマツダを「意外」ではなく「当然」と感じる世代だ。その層に対応した次の10年、15年を見据えた計画が進んでいるに違いない。

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