700万円と高額にはなったけど! それでも応援したい新型フェアレディZの魅力

■400Rが示したシャシーの可能性! その走りに期待が高まる

スカイライン 400R
スカイライン 400R

 ただし、仮にもっと安かったらZを買う人が増えるかというと、そんなこともない。今はもうそういう時代ではない。スポーツカーに目を向ける人自体が減り、ましてやこのクラスのスポーツカーは若者よりもいうと年齢層の高い人にとっての趣味の乗り物になった。欲しいと思って買える人が買えばそれでよいのかなと思う。

 価格がどうなのかはさておき、新型Zは、内容的にもなかなか魅力的だ。モデルチェンジ前のZ34の標準系に対し、1845mmの全幅と1315mmの全高と2550mmのホイールベースは変わらないが、全長は130mm増の4380mmとなる。

 スラントした長いノーズにショートデッキのスタイルを受け継ぐスタイリングは、これまで以上に偉大なる初代S30へのオマージュを感じさせるスタイリングをまとうのは見てのとおりだ。

 スタイリングについて、歴代Zのなかでは、Z32のみやや異質だったように思っているが、S130もZ31もZ33もかなりS30の面影を感じさせるデザインとし、価格も内容のわりに安かったことで、ことのほかヒット作となった。Z34はその発展形だ。

 新型はさらにS30直系のクルマであることを色濃く打ち出したデザインとなったわけだが、これをもっと昔の時期にやっていても、あまりありがたみがない。生誕50年を過ぎた今やるからこそ意義があるように思う。幼い頃に見たS30の雄姿に憧れた現在50~60代の層にはガチで刺さるデザインだと思う。

 走りに関しても大いに期待させる数字が並ぶ。最高出力405ps、最大トルク48.4kgmという性能を発揮する3L V6ツインターボのVR30DDTTは、スカイライン400R(以下「400R」)にも搭載されて絶賛されているエンジンであることはご存知のことだろう。

 それをベースに、よりシャープなレスポンスを追求すべく細部に手を加えた新開発のエンジンだという。これまでのVQ37VHRの標準系が、336ps/38.1kgmだったことを思うと、大幅な向上だ。

 さらには、6速MTと9速ATが選べることにも注目。400Rが7速ATのみだったのに対し、3ペダルHパターンのMTと、より多段化したトルコンATという、いずれも400Rには設定のないトランスミッションが組み合わされるわけで、そのあたりも楽しみだ。

 シャシー性能も、FR-Lプラットフォームはあまり素性がよろしくないことはたびたび指摘されてきたとおりで、筆者もあまり評価できないように感じていたが、400Rはエンジンだけでなくフットワークのよさでも高く評価されたことで、このプラットフォームにもまだまだ可能性があることを示した。新型Zはさらに洗練されていると思ってよいだろう。

■時代が変わってもアフォーダブルであり続けるZという存在

 ところで、プラットフォームこそ流用するなど事情によりZ34という型式を6代目から踏襲することになったようだが、実際には全体の約8割が新設計という。そうなると、もはやビッグマイナーチェンジというレベルではない。日産も「7代目」と表現しているとおり、新型Zは“新しい”のだ

 歴代Zもそうだったように、すべてがわかりやすいところがよい。誰が見てもひと目でわかるスタイリングや高いパフォーマンスといったZの持ち味が、新型Zはこれまでにも増してわかりやすくなっているのだから、惹かれないわけがない。

誰が見てもひと目でわかるスタイリングや高いパフォーマンスといったZの持ち味が、新型Zはこれまでにも増してわかりやすくなっている
誰が見てもひと目でわかるスタイリングや高いパフォーマンスといったZの持ち味が、新型Zはこれまでにも増してわかりやすくなっている

 それでいて価格についても、特別仕様車は上で述べたとおりだが、おそらく500万円台半ばから600万円前後が売れ筋となるはず。そうなると、2022年に出るこのクラスのスポーツカーとしては、かなりアフォーダブルといってよいのではないだろうか。

 これほどのスポーツカーがこの価格で手に入るというのはほかに思い浮かばない。世界的にも稀有な存在に違いない。そんなまもなく世に現れる日本を代表するスポーツカーの最新モデルをドライブできる日が、今から楽しみでならない。

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