■クラシックなアメ車への憧れを再燃させる魅力が最大のポイント
しかし、アメリカ車は違う。欧州車のように神経質ではなく大らかだ。ロックスターとバディはともに、アメ車を元ネタにしている。ロックスターはコルベットC2で、バディはシボレーあたりのSUVだ。
クルマ好きの目から見ても、これまでのミツオカ車とは、見え方が違う。「これはこれでいいね」と思えるのだ。それはひとえに、おおらかなアメ車をモチーフにしているからだと愚考する。
コカコーラとマクドナルドが世界中にあるように、アメリカ文化には、世界を飲み込む包容力がある。マックがモスバーガーを訴えることはないし、モスバーガーも本物だ。それとこれとは話が微妙に違うが、ロックスターとバディは、神経質なクルマ好きの見地からも「アリ」なのである。
ミツオカ車のカスタマーは、神経質なクルマ好きとは別の層なので、そこの評価は売れ行きとは無関係だが、クルマ好きの評価も、以前より暖かいのは間違いない。
クラシックなアメ車への漠然とした憧れを抱いている者は日本にも非常に多いが、ライトなクルマ好きにとっては、本物はとても手が出せない。そこに、アメリカンテイストのフォルムをまとった、信頼性抜群の国産車が現れた。「これが欲しい!」となるのは、当然だったのかもしれない。
ミツオカのこれまでの実績も大きい。私はオロチに乗って心底感心した。一からフレームを組み、トヨタ製V6を載せて、FRPのボディを架装して、あれだけちゃんと走るクルマを作るとは! さすがは日本で10番目の自動車メーカーだ。
ゼロワンとオロチ以外のモデルにはベース車両があるが、ミツオカのFRPの工作精度の高さは素晴らしく、チリまできっちり合っている。ベースだけでなく特装に関しても、信頼性抜群の国産車品質を維持している。
ロックスターとバディは、ライトなクルマ好きの夢を実現してくれるクルマだったのだ。
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