地震、台風で避難が必要になった時、避難所にペットを連れていくことができず、自宅で過ごすという人がいることがニュースで取り上げられることがある。
ただ自宅は危険なので、安全な場所に移動してペットと過ごそうとした場合、電気がなく、明かりもなく、携帯の充電も心もとない……といった事態に陥ってしまう可能性もあるのだ。
そこで、今回は現在販売されている電動車で、ペットとともに短期を過ごすのに、快適性の高い電動車を、自身も愛犬を飼っている青山尚暉氏が飼い主目線で選んでいく。
文/青山尚暉
写真/青山尚暉、TOYOTA、MITSUBISHI、AdobeStock(トップ画像=Тарас Нагирняк@AdobeStock)
■東日本大震災で考えさせられた「ペットとともに逃げる」ということ
2011年3月11日に起こった東日本大震災。その時、ラブラドールレトリーバーと暮らすわが家も被災した。
仕事先から大変な思いをして帰宅すると、周囲は水道管の破裂などで水浸し。道路の亀裂で動かなくなったクルマや、家が真っ二つに折れて埋没してしまった家屋もあった。
幸い、わが家の被害はそれほど大きくなかったものの、以来、2カ月弱、上下水道が使えず、また、付近一帯の停電、その後の計画停電で電気が使えない日もあったのである。
季節的には、冷房を必要とする外気温ではなかったものの、もし、こうした災害が真夏に起こっていたとしたら、人間はもちろん、1年中毛皮を着ていて、足の裏からしか発汗できない、暑がりの犬は、熱中症など、大変な思いをすることになり、命を危険にさらすことになる。
わが家の場合、避難所に身を寄せるほどの被害はなかったのだが、もし避難所に身を寄せる必要に迫られる事態になったとすれば、大きな問題がある。
環境省によって「ペット同行避難」が推奨されているものの、地震、台風などの災害時に緊急避難が必要になっても、実際には、愛犬といっしょに避難所の屋内に入ることは、ほとんどの避難所で不可能だ。
よって、屋外の決められた場所で愛犬をつなぐか、そこで家族とともに過ごすか、あるいは家に残ることになる。
個人的には、家族の一員である愛犬と離れ離れになり、ただでさえ飼い主に依存し、災害の恐怖におびえている愛犬を独りぼっちにさせることなど、絶対ありえないと考えている。
3.11の際、偶然、その日の午前中にトヨタからお借りした試乗車のプリウスがあったのだが、そのAC100V/1500Wコンセントでどれだけ助けられたことか。そんな経験から、ここではこれからの時代の主役となる電動車の中で、災害時に愛犬、ペットと過ごすのにうってつけのクルマを「犬目線」で紹介したい。
何しろ歴代のわが家の愛犬(ゴールデンレトリーバー、ラブラドールレトリーバー、キャバリア、ジャックラッセル/現在)は、年間、何台もの新車に試乗し、さまざまな媒体でクルマのドッグフレンドリーポイントを評価する自称自動車評論犬!? でもあるのだ(筆者はモータージャーナリスト&ドッグライフプロデューサーとして仕事をしている)。
災害時、自宅にいることはできても停電している、あるいは、自宅で過ごすことが危険なため、安全な場所に移動せざるを得ない……という状況を前提に話を進めたい。
実際に東日本大震災で被災した経験からすれば、クルマは電動車、それもハイブリッド、PHV(PHEV)が理想的だ。大災害時には停電はもちろん、ガソリンスタンド(や充電スタンド)も被災している可能性がある。給油したくてもできない状況が想定される。
燃費のいいクルマを、つねに満タン状態にしておくことは不可欠だろう。ハイブリット、PHV(PHEV)はエンジンで発電し、電気を作り出せる点も、災害時の大きな強みになると断言できる。
もし、自宅に住めないような状況下で、愛犬、ペットのためにあえて避難所に行かず、自宅の駐車場あるクルマの車内で過ごすようなケースでも(クルマが無事の場合)、冷暖房による快適空間の確保、ラジオやテレビからの情報収集、スマホの充電などが可能になる。
そしてハイブリッドやPHV(PHEV)に用意されるAC100V/1500Wコンセントがあれば、お湯を沸かし、簡易電子レンジやホットプレート、蓄電式湯たんぽなどを使うこともでき、食事や寒さに困ることもなくなるはずだ。
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