■ピュアガソリンエンジンも残る!!
現行のガソリンエンジン車は、排気量1496ccの直列4気筒のL15B型VTECターボエンジン(150ps、203Nm)だ。このエンジンは、現行ステップワゴンのほかにも、現行CR-Vや先代ヴェゼルツーリング、先代シビック(FC1)など、ひと昔前から使用されていたユニット。
WLTCモード燃費は13.6km/L(市街地10.3km、郊外14.3km、高速15.2km)。新型ノア/ヴォクシーの15.1km/Lとは、これまた差が付いている。
新型ヴェゼルや新型シビック(FL1)のピュアガソリンエンジンは、新世代の1.5LVTECターボ「L15C型」へと移行している。新型ステップワゴンにピュアガソリン仕様があるならば、間違いなくこちらのエンジンが流用されるだろう。
国内販売でのシェアを考慮すれば、ピュアガソリンはまだまだ必須。これ以上、普通車のシェアを落としたくないホンダとしては、「次のステップワゴンが最後」という条件でも付けて、L15C型ガソリンエンジンへと更新してくるのではないだろうか。
■燃費では敵わないが、エンジンの質感は確実に勝てるはず
燃費性能で「ダントツ」の1位になった新型ノア/ヴォクシーに、走りの弱点があるとするならば、それは「エンジンノイズ」だ。新型ノア/ヴォクシーは、加速時に、トヨタ製直4ユニット特有の「ガーガー」という、ややガサツなエンジンノイズが聞こえる。むしろ、2L直4のガソリンエンジン(ハリアーやRAV4と同じユニット)のほうが、エンジンの音が気持ちいいと感じるのだ。
一方、新型フィットe:HEVや新型ヴェゼルe:HEVなど、最近のホンダ製ハイブリッド車は、どれもエンジンの質感が高い。「加速の強さ」や「レスポンスの鋭さ」といった特徴はないのだが、滑らかな回転フィールとスムーズな加速、そして静かなロードノイズなどから、「走りの質感」を感じられるのだ。加速時の騒音も、「澄んだいい音質」なので、運転していてストレスがない。
前述したように、おそらく新型ステップワゴンは改良型のe:HEVを搭載してくるはずで、となると、燃費性能において驚くほどの大きな進化は見込めない。「ミドルクラスミニバンにいい音質など必要なのか」という考え方もあるだろうが、どのメーカーのミニバンも進化が極まってきた現在、数字では表しにくい、この手の「走りの質感」が、最後に背中を押してくれる存在なのかもしれない。ぜひとも新型ステップワゴンには、極上のe:HEVユニット開発を目指してほしい。
■高速直進性やコーナリング、乗り心地などは、互角以上か
新型ノア/ヴォクシーに採用したTNGAプラットフォーム(GA-C)は、堅牢感が非常に高い。そのため、新型ノア/ヴォクシーは、一般道を30km/h程度で走行すると、路面凹凸からの振動が、それなりにフロアに伝わってくる。
60km/hにまで速度を上げれば、振動はほとんど気にならなくなるが、見栄え重視の17インチ55扁平タイヤ(S-Z 2WD仕様)はややオーバースペックにも思える。その半面、60km/h程度の中速走行でのロードノイズは、至極静かだ。
また、センタリング性が高く、適切な操舵力にセッティングされているEPSは、運転していて非常に楽。コーナーや交差点での身のこなしも、すっきりした運転感覚でとても好ましい。
「(車体の)リアゲートやサイドドアの開口部の剛性を高めて、車体を作り込んだうえで、サスをしっかりと動かしたかった」と、トヨタ車両実験部動的性能開発室主査の兼子正人氏も言うように、しっかりした足回りで安定感の高さを目指しているようだ。
新型ステップワゴンも、新型ノア/ヴォクシーと同様、車幅が拡げられ、ボディはロール方向やピッチ方向へ、より揺れるようになるはず。タイヤやサスペンション、そして車体剛性など、これまで以上に対策が必要になるだろう。そして注目したいのが、EPSの操舵力特性だ。
この手のミニバンでは、キビキビしたハンドリングにすると運転操作がやりにくくなる(クルマの動きが大きいので修正操舵が増えるため)ことがあり、ある程度、「緩慢さ」を持たせるほうがいいことが多い。
先日、箱根で新型ヴェゼルe:HEVに試乗したが、機敏過ぎず、かといって遅れも少ない、運転しやすいEPS特性に仕上げられていた。あの方向性で新型ステップワゴンも仕上げれば、きっといいフィーリングに仕上がると思う。
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