■オデッセイが拓いた日本のミニバン市場。そのパイオニアの退場に見るホンダの真意は?
この見方はホンダの側に立ったものだが、ユーザー目線でとらえても、オデッセイに対するニーズは高い。そのためにオデッセイの売れゆきは、マイナーチェンジを実施してから大幅に伸びた。2021年の登録台数は、前年に比べて約2倍に増えた。
前述のとおり、今のホンダの国内販売は軽自動車にコンパクトな車種を加えると、80%を超えてしまう。これに伴ってホンダのブランドイメージも小型化したが、この逆境で売れゆきを伸ばしていたオデッセイは注目される。
そこでオデッセイの販売終了について販売店に尋ねると、以下のように返答された。「オデッセイは伝統のある車種で、長年に渡って乗り継いでいるお客様も多い。ミニバンであると同時に、価格が300万円を超える高級車の最多販売モデルでもある。オデッセイはホンダにとって、いろいろな意味で大切な存在だ」。
オデッセイを廃止した方針には、メーカーのホンダ社内からも、反対意見が聞かれる。「オデッセイへの思い入れは、ホンダの社内でも強い。仮に国内で生産できなくても、今は中国でも作っているから、日本へ輸入することは可能だ。そこまで含めて継続を望む声が聞かれる。」
■廃止と復活を繰り返すホンダの商品戦略にユーザー目線があるのか?
ちなみに以前のホンダでは、CR-Vやシビックの国内販売を終了して、その後に復活させたことがある。CR-Vを終えた時の理由は「SUVとしてはコンパクトな(先代)ヴェゼルが用意され、ボディサイズのわりに車内が広い。販売も好調だから、CR-Vの需要まで充分にカバーできる」というものだった。
その後に一度廃止したCR-Vを復活させた時の理由は「SUVの人気が予想以上に高く、オデッセイやアコードのお客様がSUVに乗り替えることも考えられる。ヴェゼルではボディが小さいため、サイズの大きな上級SUVのCR-Vを改めて売ることにした」というものだった。
ただしCR-Vやシビックのように、海外で存続しながら国内販売が終わると、ユーザーは裏切られた気分になる。ホンダ以外のメーカーに乗り替えることもあり、数年後に国内販売を再開しても、もはや時期を逸して需要が戻るとはかぎらない。
■ホンダの日本市場戦略はダウンサイジングで勝負ということなのか⁉
つまり、オデッセイを廃止した後のホンダの国内販売では、シビック(ハイブリッドとタイプRを含む)とステップワゴンが最上級車種だ。この2車種を頂点に、コンパクトなフィット/フリード/ヴェゼル、軽自動車のNシリーズを揃える。
ホンダに国内の販売戦略があり(場当たり的で存在しない可能性も高いが)、それに基づいてオデッセイを廃止するなら、上記のとおりホンダブランドのダウンサイジングが最終的な目的だ。
今の国内市場に合った方針ともいえるが、薄利多売のクルマ作りを選ぶことになる。メーカー、販売会社ともに、経営のやり方が大きく異なるスズキやダイハツと勝負せねばならない。
【画像ギャラリー】元祖クリエイティブムーバー、「オデッセイ」日本販売終了。その役割はステップワゴンに継承⁉(23枚)画像ギャラリー
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