初代(1994年-1999年)。ホンダ・クリエイティブムーバーの第一弾として登場。実際はアコード系の販売不振による狭山工場の稼働率低下の打開策として開発された。絶妙な全高(1645mm)は狭山工場での生産上の制約から設定された
初代オデッセイ伝説:1「消されたタコメーター」。アコードベースに開発されることで開発費を抑制。さらに車両コストも抑えるため、「コラムAT車だからタコメーターはいらない」との判断からタコメーターすら設定廃止となった
初代オデッセイ伝説:2「スペアタイヤの居場所」。本来トランクの存在する場所に3列目シートが配置された結果、トランク下に積むべきスペアタイヤの居場所がなくなった。窮余の策として3列目シートの横に立てかけられるように装着された。初代唯一の弱点であったかもしれない
初代オデッセイ伝説:3「ホントに売れるのか?」発売前のホンダ社内リサーチでは100人中95人が「売れないだろう」と予想。実際は大ヒットとなった。後期モデルでは「プレステージ」というV6の3Lエンジン搭載モデルも追加となった
当時業務提携をしていたいすゞにもOEMされた(北米のみ)。その名は「オアシス」。ホンダにはいすゞのRVが供給された。ちなみに鈴鹿サーキットの作業車などにいすゞ車が多いのはこの提携の名残りと思われる
2代目(1999年-2003年)。ほぼキープコンセプトでモデルチェンジを実施。エンジンも2.3Lと3Lの2本立て。21世紀のクリエイティブムーバーとしての正常進化を果たした
内装は初代のシンプルさと比較すると造形的にも凝っており、豪華になった印象。インパネシフト(Sマチック)を採用。2代目ではさすがに全車にタコメーターが装備された
2代目の3列目シート。初代では3列目に座るとゴム臭や圧迫感で不評だったスペアタイヤはめでたく床下へ。両席にカップホルダーが装備されるなど居住性、快適性に格段の進化を遂げた
2代目とほぼ同時期に販売された「ラグレイド」。実は2代目北米版オデッセイだ。初代も北米へ輸出されたが、北米のミニバンとしてはサイズが小さすぎた。そこで2代目以降は分家し、USオデッセイとして独自の発展を遂げ、現在に至っている
3代目(2003年-2008年)。大胆なコンセプト変更を断行したモデルだ。ホンダ得意の低床設計により室内高は確保しながらも立体駐車場にも入庫可能な1550mmのミニバンとしては異様に低い車高を採用。写真のアブソルートは200psの専用エンジンを搭載し、鋭い走りでミニバンの新境地を拓いた
4代目(2008年-2013年)も3代目の発展型として登場。ただし、日本の日本のミニバン市場ではアル/ヴェルなど押出感満載のデザインが受け始めつつあり、2代続いたオデッセイのコンセプトは行き詰まりを見せ、販売も低迷した
4代目のインパネ。低さやクールさを強調する外装に対し、内装は挑戦的とも言える攻めのデザインを継続採用。その半面、立体的なデザインが視覚的な狭さを助長してしまい、ミニバンらしからぬ閉塞感に悩まされることになってしまった
5代目(2013年-2021年)。生涯2度目のコンセプトチェンジを敢行。本来のミニバンらしいデザインへ回帰した。更にオデッセイ初の後席スライドドアを採用! 高級ミニバンとしてのポジション確保を目指した
5代目の特徴である後席スライドドア。日本では「オデッセイよお前もか!」と長年のオデッセイファンを嘆かせる結果に。しかし、このモデルは中国での販売も考慮する必要があり、実用性と豪華さを訴求した結果のモデルチェンジだった
2020年11月にビッグマイナーチェンジを実施。その後の売れゆきは回復基調であったが、狭山工場の閉鎖に伴い、わずか1年で販売終了というファンからすれば「暴挙」とも思える結末となった。ホンダの真意はいかに?
マイナー後モデルのインパネ。1年後に生産終了するとは思えないかなり大掛かりな改良が入った。ファイナルバージョンとしてみれば「やり切った感」にも見えるが……
ジャスチャーでスライドドアが開く面白いギミックも搭載。先代までヒンジドアにこだわりながら5代目が敢えてスライドドアへ変更した「意義」をユーザーにアピール? ただ日本ではステップワゴンとバッティングするジレンマも抱えることとなった
オデッセイ派生のミニバンとして存在したのがエリシオン(2004年-2013年)。3・4代目がワゴンフォルムとなったオデッセイの反動の受け皿? とも思えるモデル。日本のほか中国でも販売された
後期型のプレステージ。日本ではヴェルファイアに対抗すべく路線変更されたようにとらわれがちだが、実際には中国市場に投入されることを意識した改良だった。FF車は300psのV6 3.5Lエンジンを搭載
エリシオンの今。中国では東風本田のMPVとして2代目が販売。見てのとおりオデッセイの兄弟車である。最近日本のビッグマイナーと同じ規模の大々的なマイナーチェンジが実施された
室内もオデッセイベースで中国仕様にアレンジされたものとなっており、シートやドア内張も豪華である。e:HEVが搭載され、シフトも次期ステップワゴンと同様スイッチ式となった
こちらは広州本田の「オデッセイ」。外観は日本仕様により近い?オデッセイこれまで北米ではより大きく、中国ではより豪華に進化した半面、日本では現状からのさらなる進化は困難と判断され生産終了となったのではないか?
ホンダの発想の転換から生まれたオデッセイ。1994年の登場以来グローバル展開され、現在も各々の地域・趣向に合わせた進化を継続中だ。ただ歴代オデッセイが日本市場で担っていた市場を創造する役割は果たしづらくなり、ステップワゴンに統合・継承するというのがホンダの真意と考えるが、真相はいかに??