レクサス初のハッチバック車、CTが今年10月に生産終了……その功績を考える

■使い込まれて乗り心地が良くなった

 ところが昨年、知り合いが中古のレクサスCTを購入した。フェラーリ用の快音マフラーを製作する『キダスペシャル』の職人、岡田氏である。

 彼が購入したのは、ちょうど10年落ち、つまり2011年式の初期型レクサスCT200h。価格はコミコミ95万円だった。

 岡田氏の仕事は電動化とは正反対の内容だが、普段の足は「そろそろ電動化すべきかな」と思い、3代目プリウスと迷った末、レクサスCTを選択した。

 電動化といってもハイブリッドは、すでに誕生から四半世紀を経ていて目新しくはないが、岡田氏は電動化とはまったく無縁のカーライフを送ってきただけに、初めてのハイブリッドカーは充分衝撃的で、あまりの燃費のよさに大感動。同時に、燃費計の数字を上げる楽しさにもハマッた。

 カーマニア的に見ても、レクサスCTの走りは非常にイイという。

■期待以上の走りをする!

「最初は加速がトロいな~と思ったんですけど、スポーツモードに入れると、アクセルレスポンスが断然よくなるんですよ。ハンドリングもしっかりしてるし、全体にすごく気持ちいいクルマです。正直、ここまでは期待してませんでした」(岡田氏)

 レクサスCTのハイブリッドシステムは、スポーツモードに入れるとモーターの駆動電圧が500Vから650Vに上がり、アクセルレスポンスが向上する。この点はプリウスとは明らかに異なる。もちろんシャシーもかなり違う。

 彼の愛車に試乗させてもらったところ、私も衝撃を受けた。11年前、「固すぎる!」と感じた足回りは、10年5万8000kmを経て、実にちょうどよくこなれており、しっかりしたボディと相まって、乗り心地抜群になっていたのだ。それでいてハンドリングはしっかりシャープ。さすがリアダブルウィッシュボーンサスペンションである。先代プリウスとは違う!

 発表当時は、足回りが固すぎて真価がよくわからなかったが、10年後にCTがこれほどいいクルマになっているとは……。シャシーの安物感が強い先代プリウスとは月とスッポン。もちろん内装もレベルが違う。レクサスは、無駄に値段が高いわけじゃなかったのだ。

 思えば2013年に登場したレクサスISも、発表当時はCTに近い、かなりガチガチな足回りだったが、2020年のビッグマイナーチェンジで、見違えるようにしなやかなになった。

■最新型のレクサスの足は、10万キロ走った初期型レクサスの足

 つまり近年のレクサスは、新車が10年落ちのこなれた足回りになったようなもの。現在のレクサスはもう、10年熟成させる必要はなくなったわけだが、CTは10年ものが食べ頃(?)なわけで、断然お安くなっている分、中古車は非常にお買い得だ。安いと言っても、10年落ちで100万円前後の値がついているのは、それだけの価値があるということでもある。

 レクサスCTは、「レクサス版プリウス」と呼ばれたことで、レクサスのブランドイメージを落とした面もある。私も、「無駄に値段ばかり高くて、足回りがガチガチのプリウス」だと思い込んできたが、今頃になってその価値を知った。

 最終限定モデルがどんな足回りなのか、乗っていないのでわからないが、少なくとも長く乗れば、「いい買い物をした」と思えるはずだ。レクサスのクルマ作りは、ある意味間違っていなかったのだ!

■次はEVで復活する?

 レクサスCTは今年10月で生産を終了し、後継モデルもない。

 ただ、昨年12月14日に発表された大量のトヨタEVニューモデルのなかに、レクサスのコンパクトハッチバックEVらしきモデルが存在した。そのフォルムは、CTの進化版そのもの。これがCTの実質的な後継モデルになるのかもしれない。

 CTはEVになってリボーンする(たぶん)! それは相変わらず、最も手頃なレクサスであり、最もお買い得なレクサスになる予感がする。


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