■アルピナを吸収したBMWの思惑とは? 今後のアルピナはどうなる?
最大の要因となるのが、電気自動車へのシフトと世界的な規制強化、特に排出ガスやソフトウェアの検証、ドライバーをアシストする安全装置の需要といった規制強化であり、アルピナのような少量生産メーカーに対する高い要求とリスクを生み出した。
今回の戦略的な事業再編は、規制強化を求める風潮の高まりに応じつつ、市場における確固たるポジションを確立すべく行なわれるという旨が、アルピナ社のプレスリリースでも述べられている。
一方、BMWグループ側にとっては、アルピナのような高いブランド力のある商標権を手に入れることは、今後の戦略において非常に大きな意義を持つことが考えられる。
正直なところ、BMWは量販モデルは順調ながら、上級モデルの販売については彼らが望むほど上手くいっていない。そこにアルピナがサブブランド的に加わることで、強力な訴求力をもたらすことが期待できる。
たとえばメルセデスにおけるマイバッハのように、最高級レンジに特化したブランドとして位置づけられることも考えられる。
実際にどのようになっていくのかは、まだなんともいえないが、高い性能と快適性を理想的な形で両立すべく、これまでアルピナ社が培ってきた技術力や開発力は、BMWの一員となっても特別なものとして受け継がれていくに違いない。
そして、後身となるボーフェンジーペン社は、冒頭でも述べたとおり、旧車のメンテナンスなどのクラシックビジネスを手がけるいっぽうで、「我々の深い専門知識とノウハウを活用し、これまでと異なる、印象的な」とリリースに記された新しいモビリティの開発にも挑戦することを明らかにしており、そちらも非常に楽しみだ。
今回の話はあまりに急だったので驚いたが、いつかは訪れる時が意外と早かっただけともいえなくなく、それを3年も前にアナウンスするあたりも、アルピナの良心の表れのように思えてくる。
アルピナにとってはひとつの区切りとなるが、けっして「終焉」ではなくBMWと合流することでブランドとして今後も存続することが確定したわけで、そこはむしろ喜んでよさそうだ。
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