ISは“日本に適したレクサス”の可能性秘める
レクサスでは、セダン、SUVといったカテゴリーを問わず、ボディの大きな車種が多く、フルモデルチェンジの度にボディを拡大させている。
その意味で注目されるのがISだ。ボディが拡大されやすい後輪駆動のセダンだが、全長は4680mm、全幅は1810mmと少しワイドながらミドルサイズに収まる。最小回転半径は、5.2mだから、後輪駆動らしく小回りも良い。
その一方で内外装は上質に仕上げ、プレミアムセダンらしさを感じる。「小さな高級車」風でもある。
それなのに売れ行きが低調な理由は、まず内外装のデザインが繁雑になるからだ。例えば外観は、ボディ側面の下側からリヤフェンダーにかけて、キックアップするような造形に仕上げた。
フロントマスクもデコボコしている。これがシンプルに見せるメルセデスベンツCクラスやBMW3シリーズに比べると、子供っぽく、あるいは安っぽく見えてしまう。
運転感覚は乗り心地が少し硬く、機敏に走る味付けとした。このあたりも若干ではあるが子供っぽい。
背景にはドイツのプレミアムブランドへの対抗があるだろう。
BMWは正確に良く曲がるスポーティ感覚で、アウディは逆にリラックスできる穏やかな走りを大切にする。メルセデスベンツはその中間的な印象で、安定性と乗り心地のバランスが良い。
この3つのブランドはいわば正攻法で、レクサスはそこに対抗すべく、あるいは抵触しないように、玩具的な面白さを演出する。
先行する3つのプレミアムブランドが一種の縄張りのようにコンセプトを決めてしまうと、レクサスはそこを避けて個性を表現せねばならない。これはとても難しいことだ。
そう考えれば、演出過剰な外観と玩具的な走りは整合性が取れるが、少なくとも日本では、人気を得られそうもない。
日本で人気を得られるのは、アルテッツァとして販売された初代ISのような、背伸びをしないミドルサイズの後輪駆動スポーツだ。
価格にも注意したい。今のレクサスは、ISに限らず各車種ともにメルセデスベンツやBMWと同じ価格帯で勝負するが、少なくとも日本では、無理に欧州のプレミアムブランドと張り合わず、もう少し価格を下げることも検討して良い。
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