エンスーをも唸らせた「アウトランダーPHEV試乗でわかった3つの真実」

■挙動安定と楽しさの両立

 モーターならではの瞬発力の高さと精緻なアウトプットを巧く制御すると、今までにはないダイナミクスが現れる。大器の片鱗は初代でも垣間みえていましたが、新型ではその潜在能力がいよいよ引き出されたかたちです。

 BEV走行時で最長83〜87km(WLTCモード)の航続距離を確保すべく20kWhのバッテリーを積むこともあって、車重は余裕で2t超え。しかも最低地上高は200mm前後とゆったり取られていることもあって重心は高め……と、そんな体躯的不利をものともせず、アウトランダーPHEVはスラスラとワインディングを駆け回ります。

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AWCと相まって季節を選ばず快適に、そして安心感タップリのツーリングができる。GTカーとしての素質すら感じさせる

 ライントレース性は基本すこぶる正確で、ニュートラルから少しずつ駆動力をかけていけばジワッと車体を沈めて粘り込んでいくなど、挙動安定にも緻密な駆動力配分が関与しています。

 一方、アクセルを積極的に踏んでいけば後輪の駆動力と制動制御によるAYCの連携でスーッと車体をイン側に巻き込んでいくなど、ドライバーの意思に気持ちよく応える一面も持ち合わせています。

■上がる「車両挙動の質感」

 新型ではパドルによる回生コントロールに加えて、いわゆるワンペダル的なドライブモードも備わっていますから、それらを駆使してつづら折りを縫うのはSUVであることを忘れさせる楽しさです。

 いずれの動きでも印象的なのはその解像度の高さです。操作に対する応答の過程がとても緻密で鮮明に伝わってくる、内燃機がアナログ放送ならモーターはデジタル放送と、そのくらいの差異を感じます。恐らくランエボの時代に培っただろう、アクティブなボディコントロールのノウハウが電動化によってこんな綺麗に化けるとは。あの時、便所に駆け込んだ身からしてみると、思いもよらなかったことです。

 電動版S-AWCは、ADASの制御にもひと味違った新しさを加えています。例えば進路補正を駆動輪の制御で行うレーンキープアシストはいくつかあれど、アウトランダーPHEVのそれは電動サーボの緻密な作動感もあってすこぶる滑らかです。

 今後、自動運転的なものが普及してくると、乗せられる側は今まで以上に加減速や旋回にまつわる制御の質を問うようになるでしょう。アウトランダーPHEVの技術はそういう課題の解決にも駆動コントロールが鍵になってくることを示しているのかもしれません。乗る歓びの進化だけでなく、乗せられる歓びの進化にも気づきを与えてくれたところがふたつ目の驚きということになるでしょうか。

■「ダイナミックシールド」が調和している!

 そして3つ目の驚きがデザインです。もちろん好みは人それぞれですが、個人的には三菱のダイナミックシールドというコンセプトがなんとも肌になじまずでして、まずデリカD:5でドン引き、eKクロスで軽くウケてエクリプスクロスでちょっと呑み込めたかなという程度の理解度でした。

 が、新しいアウトランダーPHEVを見ると、あれだけ違和感のあったダイナミックシールド顔をすんなり受け止められるようになったんです。恐らくデザインの言わんとするところが、オーバーハングをゆったり取った立体にうまくなじんでいて、顔だけ番長ではなくなったところが大きいのかなと思います。

一方、3列シート化も実現するなど、単にデザインのために大きくなっただけではなく、パッケージにもきちんと前進がみられるところも評価できますね。

 初代で見せた可能性がさらに大きく開花した新型アウトランダーPHEV。すなわち、四駆だBEVだと三菱が何十年にも渡ってこつこつ積み重ねてきた技術が花開かせたクルマということになるのでしょう。


【画像ギャラリー】これが新世代のランエボだ!? アウトランダーPHEVをチェック!!(10枚)画像ギャラリー

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