PHEVの先駆者ながら国内での販売は苦戦気味!? アウトランダーPHEVが「実力の割に苦戦する」理由とは?
2020年6月に発売されたトヨタのRAV4 PHV(プラグインハイブリッド)は、一時的にオーダーストップが発生するほどの人気を集めたが、その“先輩”ともいえるのが7年前の2013年に登場した三菱のアウトランダーPHEV。
当初からその革新性や実力は高く評価されていたものの、販売面では伸び悩み、実力ほどの人気を得られているとは言い難い。
なぜアウトランダーPHEVは、実力と人気が釣り合わない“もったいない存在”になっているのか?
文:国沢光宏/写真:池之平昌信
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■実は世界で売れている!? アウトランダーPHEVの価値
2019年&今年前半、世界で最も売れたPHVといえばBMW 530eながら、2位はアウトランダーPHEVである。
なかでもロシアを含む欧州地域での人気が高く、総販売台数20万台を超えてます。日本市場でも発売当初こそ発煙問題でつまづいたけれど、電動化車両として考えたら順調に売れていたと思う。かくいう私も購入しましたから。
アウトランダーPHEVの魅力はエコカーとしての資質の高さにある。欧州メーカーのPHVを見ると基本的にハイパワーモデルとして企画されたもの。
例えば昨年最も売れたBMW 530eの場合、523iに搭載される2Lターボ184馬力のエンジンに、113馬力のモーターを組み合わせ523iよりワンランク上の252馬力を発生。
それでいて燃費は523iより圧倒的に優れているという「速さと燃費の両立を狙った存在」なのだった。欧州メーカーのPHVは、すべてハイパワーモデルという位置づけといってよかろう。
一方、アウトランダーPHEVのコンセプトを見ると、ひたすら二酸化炭素の排出量を削減する、というもの。純粋に効率を追求しているのだった。
実際、私が所有している時は、40kmくらいまでの移動なら電気のみ。その時の電気料料金およそ110円。同じ距離をエンジンで走ると(電気なくなると燃費の良いハイブリッド車になる)約400円。電池搭載量が増えた後期型だと電気だけで50kmくらい走れてしまう。20kmくらいの通勤ならガソリン補給しなくてもいいほど。
■コストパフォーマンスも抜群ながら日本では低迷
しかもリーズナブルな価格設定である。394万円スタートで20万円の補助金も付くため実質的に374万円。同じクラスのホンダ CR-Vハイブリッドの4WDは415万円からになる。さらに、電気自動車として使っていればエネルギーコストがハイブリッド車の4分の1で済む。文句の付け所がないほどバランスの良いPHVだと今でも思う。
けれど今年に入り世界的に販売台数が減り始めてしまった。なかでも厳しいのは日本市場。2020年7月までの平均月販を見ると260台(編注:ガソリン車除く)と低迷している。
新鋭のRAV4 PHVが発売早々に作りきれない台数の受注を抱えてしまいオーダーストップとなったことを考えたら厳しい。どうしてアウトランダーPHEVの販売台数は伸びないのだろう。
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