■日産 アリア(B6・66kWh)
5台のテスト車で唯一のEVとなるアリア。グレードはB6だからFFでバッテリー容量も小さいモデルなので、アリアとしては軽量モデル。
「EVはエンジンがないんだから静かに決まってる」と言われそうだが、このクルマ、EVとして考えても静か。ドアを閉めた瞬間に感じる外界と遮断される高級感。インバーター音も気にならずにスーっと走り出す。
日本ならではのおもてなしを形にしたインテリアデザインも心地いい。内側に吸音スポンジを配したタイヤを装着しているからタイヤが発するロードノイズも静か。
だが、足回りは若干硬めのセッティング。背の高いSUVでグラスルーフを採用しているにもかかわらずセダン並みの低重心を実現しているアリアなら、もっとしなやかなフラッグシップらしい乗り味が実現できたのではないかと欲が出てしまう。
●不快指数 15%
●ハカリの揺れ幅 50g
■ホンダ シビック(EX)
タイプRを含めてNAエンジンを搭載していた「あの頃」に強い未練を持っているオジさん層にはなかなか受け入れる気分になれない現行シビックだが、このクルマはZ世代向けとして生まれてきた新時代のシビック。昔の話を出さずに評価をすれば悪くない。
足回りは見た目から想像するイメージよりスポーティ。それでいて走り味はなかなか高級。荷物はたくさん積めるし、後席の広さも充分だし、MTも用意されているし……、スポーティに仕上げながらもそこそこをキープしたというのがこのクルマの狙いそのものなのだろう。
全方位そこそこは実際に使う立場になったらありがたい性能だと思うが、それでお客さんに選んでもらえるかという問題はある。
3ペダル車としてのドラポジもシフトフィールも加速性能も合格点だが、エンジンの回転落ちの悪さで気持ちよさを半減させてしまっている。
●不快指数23%
●ハカリの揺れ幅60g
■スバル WRX S4(STIスポーツR EX)
今回テストした5台のなかで最もスポーティなWRX S4。かなりマッチョな乗り味なのだが、波状路で計測した測りの揺れ幅はどういうワケか50gとアリアと並んでトップの数字をマーク!
シートはクッションが硬めのバケットタイプだし、決してソフトな乗り心地ではないのだが、路面からの入力による振動は一発で収まってくれるから不快感は少ない。ただ、ロードノイズは荒れた路面での計測データで68dBと、やや大きめだった。
新しい2.4Lターボは低回転から高回転まで気持ちよく回ってくれるし、中速域でのスピードコントロールも自在。このクルマはすでにサーキットでの試乗も経験しているが、ワインディングはもちろん、サーキットを走らせてもドライバーをガッカリさせることはない。普段から使えるスポーツセダンとしての完成度はかなり高い。
●不快指数 23%
●ハカリの揺れ幅 50g
■スズキ アルト(ハイブリッドX)
何もかもがシンプル。車高も近年主流のハイトワゴンと比べたらチョップドトップ? と思ってしまうほど低い。そのぶん車体は軽いからスイスイ走る。乗り心地だってこのクラスとしては悪くない。
先代型のアルトは、引越し後の家具も絨毯もカーテンもなくなったガランとした部屋のようにいろんな音が頭の周りで反響していた。しかし、現行型は断然静か。騒音計の数値としては表れないかもしれないが、反響音的なものが気にならなくなったのだ。これは長時間走っていたら疲労に大きな差が出るだろう。
しかもマイルドハイブリッドが快適な走りに大貢献。NAエンジンの軽自動車は発進から30km/hくらいの加速域にかったるさがあるが、この弱点がモーターアシストによって解消されている。これなら交通量の多い交差点の右折でドキドキすることもない。
そういう走りやすさも含めて、とっても快適性がアップしたアルトでした。
●不快指数 25%
●ハカリの揺れ幅 70g
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