ケータイのバッテリーは使っていると弱くなっていくけど!! ハイブリッド車のバッテリー寿命は大丈夫なのか!?

■メーカー保証の2倍以上は耐久性があるはず

 ハイブリッド車のバッテリーについては、毎年どの程度の台数が、補償を必要なレベルで劣化をして、実際にバッテリー交換にまで至っているのか、データが公表されていないためわからないが、新車販売ディーラーの担当者や中古車買取専門店の担当者などの情報を見ていても、「保証対象となりバッテリー交換をした」といった事例は、あまり聞くことがない。

 ただ、一般論として、機械設計をする際は、必ず「安全率」を考慮して製品化を行う。筆者は会社員時代、自動車メーカーでサスペンション設計をしていたが、サスペンション部品も、一般人が使う想定回数の「約10倍」は、寿命が持つように設計していた。

 サスペンションは特に、壊れたら走行不能に陥る可能性もあるため、それくらい厳しく安全率を見込んでおく必要があるのだ。

 ハイブリッド車のバッテリーは、途端に走行不能になるものではないが、それでも、メーカーの保証が5年10万kmだとすると、そこを超えると使えなくなる「安全率1.0」の設計は考えられない。

 メーカーが「5年10万kmは保証」と言うのには、絶対的な自信を持ったうえで決めているはずであり、おそらく2倍以上の「安全率」を持たせて、耐久性を確保しているだろう。

■トヨタのハイブリッド車用バッテリー交換は17万円~、ニッサンリーフは30万円~

 ただ、駆動用バッテリーを交換した事例はなくはない。あくまで一例であるが、保証期間を過ぎたトヨタ プリウスの場合、駆動用バッテリーの交換には約17万円の費用がかかったそうだ。

トヨタ プリウス(写真は現行型)。保証期間を過ぎたトヨタ プリウスの場合、駆動用バッテリーの交換には約17万円の費用がかかったという
トヨタ プリウス(写真は現行型)。保証期間を過ぎたトヨタ プリウスの場合、駆動用バッテリーの交換には約17万円の費用がかかったという

 繰り返しになるが、車種ごとに価格や工賃などは異なってくるため、詳細な交換費用は各ディーラーでの見積もりが必要なので、参考としていただきたい。ただ、実際にバッテリー交換に至ったプリウスの事例は非常に少ないそう。現に、走行距離が20万kmを超えても、元気に走っているプリウスは沢山ある。

 日産 リーフの場合、メーカー保証を過ぎたバッテリー交換の費用は、新品バッテリーで24kWh:65万円、30kWh:80万円、40kWh:82万円ほどかかる。中古車の値段かと思うほど高額だ。

 実は筆者も、8セグメントまで減った初期型リーフを中古で購入した経験があるが、8セグまで満充電し、航続距離が120kmと出ても、冬場だと走行距離は60km程度しか走ることができなかった。一度本気でバッテリー交換を検討したのだが、見積もり金額が車両購入金額を上回ったため、諦めた。

 日産は、リーフの再生バッテリーを使った有償交換プログラムを2018年から開始している。状態のよいセルを選定した「再生バッテリー」は30万円で交換できるが、メーカーが保証するのは「10セグ」とのこと。1年も経てばまた9セグになる可能性もあり、価格は安いがリスクは大きい。

■ハイブリッド車のバッテリーはそれほど気にする必要はない

 バッテリーEVはさておき、ハイブリッド車であれば、中古車であってもそれほどバッテリーの劣化を気にする必要はないだろう。

 万が一交換が必要になったとしても、交換費用は高額ではあるが何十万というレベルではなく、それをリスクと考えて中古ハイブリッド車を避けることは、非常にもったいないことだと思う。

 また、トヨタの場合、駆動用バッテリーのメーカー保証を延長することも可能。5年目を迎える前の中古ハイブリッド車を買った場合、5年目の車検のタイミングで、「保証がつくしプラン」を選ぶと、さらに2年間の保証延長ができ、それには駆動用バッテリー保証も含まれている。中古車であっても安心してハイブリッド車を選んでいただいて大丈夫だ。

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