■通常のネットオークションとは違う仕組みから、独立へ
ところで、どうしてヤフオク!から官公庁オークションがなくなってしまったのか、疑問に思っている人もいるだろう。
ヤフオク!でも官公庁オークションは一般の出品とは違って、最初に入札の権利を取得するために保証金を支払う必要があった。この保証金を支払う申し込み期間が定められていて、入札期間よりも前に締め切られる。
そのため、オークションに入札するには、参加申し込みの期間中に保証金を払って参加することが必要だ。これが通常のヤフオク!とは違う部分だ。見つけた時には参加申し込み期間が過ぎている、なんてこともある。こうなると誰かが落札するのを眺めているだけ、となってしまう。
これはいささか歯がゆいものを感じるが、いたずら入札を防ぐためにも冷却期間を設けることも必要だし、公的な機関への入札としては本来はもっとキチンとした申し込みが必要であるが、保証金を納めることでこれを省略しているということなのだろう。
そういうルールの違いが、ヤフオク!の中では特異なコンテンツとなっていたことから、使い勝手の悪さを感じさせてしまった部分もありそうだ。そこで新たな受け皿を用意して独立させたのがKSI官公庁オークションなのだろう。
なぜならKSI官公庁オークションもヤフオク!の官公庁オークションをほぼ受け継いだもの。Webのデザインこそ変わっているが、システムとしてはほぼ同じものだ。
異なるのは、せり形式も導入されたことだろう。従来のヤフオク!官公庁オークションは、自分の購入希望額を決めて入札し、一番高い金額を入札した人が落札できる、というものだった。
それが通常のネットオークションのように入札の最高金額が表示されて、入札期間中にそれより高い金額で再度入札することができるのだ。
車両に関して言えば、官公庁オークションにはざっくりと分けて2種類のクルマが出品されている。ひとつは消防車や救急車、公用車などの公有財産で、もうひとつが税金などの滞納で差し押さえされたクルマだ。普通の人が注目するのは、後者の差し押さえされたクルマだろう。ただ、これは少々クセモノだ。
正直言って、差し押さえされるクルマの所有者なのだから、クルマにキチンとした手入れを施していないことも多く、地方自治体もクルマの素人だから、単に保管しているだけ。中古車販売店の商品車と同じレベルを期待するのは、そもそも無理がある。
ほかに差し押さえるモノがなかったのだろうと想像するくらい、クルマとしての価値もない出品物もある。
これまで時折覗いてみた印象によれば、国産高級セダンや輸入車などが差し押さえ車両として出品されていたが、走行距離はまあまあ進んでいたし、内外装の印象からも乗りっぱなしで手入れを怠っていると想像できるクルマもかなりを占めていた。
それでもつぶさにチェックしていけば、掃除や点検整備さえ施せば、まだまだ楽しめそうなクルマも見かけるから、そういったギャンブル性の高いクルマを手に入れて仕上げていくことを楽しむマニアにはいいのだろう。
消防車やマイクロバスなど中古車販売店ではあまり扱っていない、マニアックな「はたらくクルマ」が出品され、それもかなりの低価格からの入札開始価格となるから、ちょっと欲しくなる人もいそうだ(実際、TVのバラエティ番組に消防車を購入した人が登場していた)。
気を付けなくてはいけないのは出品者は官公庁であり、個人や中古車販売店ではない、ということだ。落札できて購入するとなった場合、基本的に手続きは自分で行なわなくてはならない。
クルマの引き取りから名義変更などの手続き、機関として正常に動作させるための点検整備などはすべて自分で手配する必要があるのだ。
もちろん購入後の故障や不具合などには保証などないから、すべては自己責任だ。そういった意味では、入札前には現地へ訪れて、現車を確認したほうがいい。
クルマ好きでもかなりの上級者でなければ、購入して楽しむのは難しい。信頼できる整備業者などに協力してもらえば、あるいは問題無く乗り回して楽しめるかもしれない。そういうプロ向きのオークションがネットで公開されているものだ、と考えた方がいいだろう。
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