BMWのどこがいいんだ! その人気の秘密に迫る!

BMWのどこがいいんだ! その人気の秘密に迫る!

今年3月のジュネーブモーターショーで、ついに姿を現したトヨタ・スープラ。しかし、パワートレーンやプラットフォームを供給するのがBMWだと聞いて、眉をひそめた人は多いのではないだろうか。

外国人タレントに夢中になる彼氏・彼女を前に、複雑な気持ちになる諸氏……なんて想いを抱いた人がいたかどうかは知らないが、BMWといえば、ここ日本にあって、2年連続で5万台を超える販売を記録し、輸入車における販売台数2位につけている人気メーカー。

どちらかといえば国産志向の強い日本にあって、気がつけばいつの時代も決して小さくない存在感を示してきたBMW。その人気の秘密に迫る。

※本稿は2018年2月のものです
文:鈴木直也、ベストカー編集部/写真:BMW、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2018年3月26日号


【考察1】 スープラにBMWのエンジンは合うのか?

(TEXT/鈴木直也)

ご存じのとおり、次期スープラはBMWとの共同開発で、Z4の姉妹車となる予定。新型Z4のデザインコンセプトは、すでに昨年の東京モーターショーで発表されており、3月のジュネーブショーでスープラともども市販バージョンがお披露目される予定だ(編集部註:Z4は8月のペブルビーチ・コンクール・デレガンスで世界初公開となり、スープラは来年1月のデトロイトショーで市販車が公開、2018年春発売開始と目されています)。

2017年8月、ペブルビーチ・コンクールデレガンスの会場でお披露目されたZ4コンセプト

このスープラ、なんといってもひっかかるのはBMW製のパワートレインが使われること。スープラのバリエーションは197psと258psの2L直4ターボと、トップグレードに搭載される3L直6ツインターボはZ4の326psを上回る340ps。トランスミッションはアイシンではなくZFの8速ATとなる。

いまだに人気の高いA80スープラはトヨタ独自のJZ系直6がウリで、映画の「ワイルドスピード」でも、チューニングされて高性能を発揮する伝説の名エンジンとして描かれている。

もちろん、トヨタとしても「いまさら直6はちょっと……」という事情があるのだろうが、ボディ違いだけで「中身はほとんどBMW?」というのもなぁ……。パフォーマンスが申しぶんないのは確実だろうけど、でも「スープラがそれでいいのか?」という思いもあるわけだ。

BMWの高性能バージョンはMシリーズに代表される純正ハイパワー仕様が搭載されるが、国産スポーツカーはスープラもライバルのフェアレディZも、町の職人チューナーが自由に腕をふるってパワーアップを楽しむという伝統があった。

新型スープラ登場で俄然注目を集めるBMW(写真は本誌予想CG)

できればスープラには「お高くとまった」スポーツカーになってほしくないというのがボクの気持ち。Z4といかにうまく棲み分けるか?

その前に、そもそもトヨタとBMWが組んでうまくいっているのかという議論もあるが、ここはひとつ、商品企画センスのお手並み拝見というところでしょうか。

【考察2】 BMWはいかにエンジンを重要視しているのか?

(TEXT/鈴木直也)

BMWのスローガンといえば「駆けぬける歓び」が有名。高速でもワインディングでもBMWはただ走るのではなく操ることそれ自体が喜びとなるようなクルマを目指している。

そのために、BMWが何を重視しているかというと、ボクはまず第1にエンジンだと思う。BMW製エンジンを見ていつも「スゴイなー」と思うのは、必要とあらばどんなに凝ったメカニズムでも採用することだ。

ひと昔前だと直6のM88型あたりが凄かったし、実用型だとバルブトロニックのバルブ駆動メカニズムや直6のブロック材にマグネシウム合金を使っていることなどがいい例。

N55型の後継、1気筒あたり500ccとしたモジュラーエンジンファミリーの現行3L直6ターボユニット、B58型。直噴で圧縮比は11.0、326ps/45.9kgmを発生する

いくら理想の可変バルタイを実現するためとはいえ、複雑なスイングアームを組み合わせた超複雑なレイアウトを採用するなんて、最初に見た時は「BMW狂ったか?」と思ったし、エンジンブロックをマグネシウムで作るのも耐久・信頼性からみたらありえない冒険だ。

そうそう、同じV8ツインターボでもM5/6用のS63B44型では左右バンク間をまたいだ排気集合レイアウトを採用するなど、さりげなくマニアックなところもしびれるな。しかも、そういう緻密な技術を結集したエンジンを実に官能的に仕上げるところもすばらしい。

核となるB48型2L直4ターボはチューニングの違いにより、184ps、192ps、231ps、252ps、258psと5種類用意されている

ただ高性能というだけじゃなく、そのパフォーマンスを引き出す過程そのものが快感。M系のエンジンをブン回したことがある人なら説明はいらないと思うけれど、ぜんぶとは言わないまでも、BMWには走らせることそのものが快感というエンジンがホントに多いのだ。

最近は排ガス規制の強化や衝突安全問題からくるパッケージングの要求、そしてコストなど、さしものBMWも好き放題なエンジン開発はできなくなり、気筒あたり500ccのモジュラーエンジンに同じ過給システムを組み合わせるといった例も増えている。

これはまぁ、FFのクルマも増えたことだし、ある程度いたしかたないとは思う。

ただ、その一方で頑なに直6を温存し続け、Mシリーズに向けた高性能エンジンの開発にも決して手を抜かないのがBMWらしいところ。

シャシーのよさやハンドリングの評価が高いのもBMWの美点かもしれないけれど、ぼくはまず最初にすばらしいエンジンあってのシャシーだと思っております。

次ページは : 【考察3】 レース活動とBMW

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

マツダ6、実は水面下で開発が続いていた!? 注目新車情報、グッズが当たるアンケートも展開「ベストカー4月26日号」

マツダ6、実は水面下で開発が続いていた!? 注目新車情報、グッズが当たるアンケートも展開「ベストカー4月26日号」

終売が報じられたマツダ6はこのまま終わるのか? 否!! 次期型は和製BMW3シリーズといえるような魅力度を増して帰ってくる!? 注目情報マシマシなベストカー4月26日号、発売中!