【スープラ、GT-R、NSX…】 伝説の90年代スポーツを伝説の脇阪寿一が試乗!! どれが一番胸躍る!?


■まずは知りたい。コックピットの印象

編集 3台のクルマにお乗りいただきましたが、まずは運転席まわりの印象などから、お聞かせ願えますか。

脇阪 ドライバーのほうに向けられたインパネまわりだとか、スープラからは当時トヨタがスポーツカーを作ろうとしていたという意思が、明確に伝わってきますね。

スープラはインパネをドライバー側に傾け、明確に主役は乗り手と主張

編集 フムフム。

ほかは?

脇阪 GT-Rからはなんか開発時に迷ったというか、苦労したんだろうな、というようなイメージを感じました。

GT-Rは比較的左右方向に開放感があり、快適性は悪くない

編集 えっと、それはどういうことでしょう?

脇阪 スポーツカーというよりは、セダンの雰囲気に思えるんですよね。販売的に売れるのはセダンだし、でもGT-Rは2ドアだしみたいな迷いというか、

制約のなかで作られたのかな、と思いました。それは外観もそうですけど。

編集 なるほど。私はR34のセダンに乗ってましたけど、インパネの基本デザインは確かに一緒です(笑)。で、残る最後の1台、NSXですが。

NSXは高いセンターコンソールがスポーツモデルらしさを演出

脇阪 NSXは、ショートストロークのシフトもそうですが、とにかく開発者が街中で走れるレーシングカーを作ろうとしたのかなというように感じました。ただ、そうであるならば座る位置だけは、もっと下げたいですね。

編集 高いですか?

脇阪 外観や足回り、ほかのところは公道を走るレースカーっぽく作ってある。それなら僕としてはあと15~20cm、低く座りたい。その位置で座ると見える景色やフィーリング、高く座るのと低く座るのでは、背中にかかる負担の場所も変わってきますから。たぶんこのシート、クッションが抜けると思うので、低く座りたい人はクッションを抜けってことだと思うんですけど。

編集 なるほどねー。

■最も大事な走り。好印象なのは?

編集 いよいよ走りの評価なんですが、どうでしょ?

脇阪 まず大前提として言っておきたいんですが、今回試乗したのは一般公道で法定速度内だということ。そして、僕がクルマに求めるのは、バランスだということです。

編集 バランス、ですか?

脇阪 はい。見た目の雰囲気、エンジン、座った時の感覚、見える景色。そういったいろんなもののバランスですね。僕は別にトガったクルマが好きでも、ユルいクルマが嫌いでもなくて、そのクルマの雰囲気が破綻していないことを重視します。で、そういう観点で評価すると、スープラとNSXが好きですね。

編集 そのココロは!? 

脇阪 スープラって見た目はスポーツカーですけど、乗ると別にアクセルを開けようと思わせないんです。低回転域のトルクが太いから街中だと3速か4速に入れておけばオートマみたいに走れる。そこは意外なんですけど、スポーツカーを優雅に乗ってくださいよ、という狙いでバランスされてるんですね。それでいて、そこからアクセルに足をちょっと乗せれば、ドンッて加速するし。いい意味での意外なんでポジティブに評価できます。

編集 ではNSXは?

脇阪 やはりNAのVTECエンジンを背中に感じるところとショートストロークシフトのフィーリングですね。ステアリングもダイレクトさがあります。感覚的なものなんですけど、ドライバーが実際に座っている位置より前に座っているように感じさせてくれるんですよね。シートの高さ以外は、作り手の「サーキットを感じてほしい」というところで、バランスが取れていると思います。

今回のNSXはホンダの純正アクセサリーなどを手掛けるホンダアクセスが所有する広報用車両。NSX登場から20年後に設定されたカスタムパーツを装着し、魅力は健在だった ※パーツ販売は現在終了

高品質なドライカーボン製のトランクスポイラーは約1.8㎏と軽量。価格は81万9000円だった

編集 残るGT-Rですが?

脇阪 やはりスープラに比べると下のトルクがないんで、今日みたいな街中で試すとエンジンが使いづらいですね。高回転まで回した時の気持ちよさは、ぜんぜんスープラよりも上なんでワインディング走ったら気持ちよさそうですが、街中オンリーだと外見や内装がセダン寄りのスポーツなのに、このエンジンはどうなの? と思ってしまう。

編集 チグハグ、ですか?

脇阪 この外装にはスープラのエンジン特性のほうが合うと思うんですよね。

編集 GT-Rがビリだと。

脇阪 う~ん、でも順位付けすること自体、違う気もするんですよね。それぞれ会社と戦いながら世に出てきたクルマだと思うし、僕がGT-Rはスープラより下がないっていっても、GT-Rファンは「それが味や」って言うだろうし。

編集 でしょうね(笑)。

脇阪 だから、自分としてはクルマとして辻褄が合ってるか、バランス取れてるかの話はしますけど、過去の名車とされてきたクルマが万全だったかというと、ダメなところもいっぱいあるわけで、

グッドバッドの話じゃなく、バッドもカワイイやないか、と。

編集 現在のクルマに比べて完成度的に未熟だと思いますが、それも愛おしいと?

脇阪 それが面白みだと思います。例えば高速走行して不安に感じるところがあったら、それを自分のドライビングで抑え込むのが楽しさであるわけです。「ハンドル切ったら曲がった」。そんなクルマは誰が乗っても同じですから。

編集 まったくもって同感ですね。今日はお忙しいなか本当にありがとうございました!

熟成不足の部分は自分でフォロー。だから古いクルマは楽しいんです!(脇阪寿一)

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