もう入った? お財布カーETCXってなんだ? メリットとデメリットとは

■ETCXが利用可能な場所は?

 2020年8月からの4ヵ月間、ケンタッキーフライドチキン相模原中央店のドライブスルーでETCXが試験運用された時の動画(現在は試行期間終了)を、運営会社であるETCソリューションズ株式会社の出資者のうちの1社であるOKI公式チャンネルで見てみたが、確かに便利そうだ。

屋外に設置されたETCのアンテナと車載アンテナが交信し、離れたところにあるサーバーと通信処理することで決済される(出典:YouTube OKI公式チャンネル)
屋外に設置されたETCのアンテナと車載アンテナが交信し、離れたところにあるサーバーと通信処理することで決済される(出典:YouTube OKI公式チャンネル)

 ETCXのホームページを見ていると、「有料道路はもちろん、商業施設や遊園地などの駐車場、ドライブスルーやガソリンスタンド、さらにはカーフェリーやEV充電スタンドまで、あらゆるスポットへとサービス拡大中」と書いてある。

 だが、現在ETCX決済に対応しているのは全国でわずか6ヵ所のみ。有料道路はアネスト岩田ターンパイク箱根(小田原料金所)、伊豆中央道(江間料金所)、修善寺道路(修善寺料金所と大仁料金所)、鳥飼仁和寺大橋有料道路の5ヵ所。ガソリンスタンドはオイルバンク新城店の1ヵ所と伸び悩んでいる。

現在ETCXで決済可能なのは全国6ヵ所のみ、今年3月にターンパイクで使えるようになってから新規登録はない(出典:ETCXホームページより)
現在ETCXで決済可能なのは全国6ヵ所のみ、今年3月にターンパイクで使えるようになってから新規登録はない(出典:ETCXホームページより)

 ETCXをさらに普及させる現実的な施策としては、現金でしか料金が支払えない、都道府県などの道路公社が管理している有料道路から導入を進めていってほしいところだ。

 ドライバーやライダーが小銭を準備せずにスムースに通行できるようになり、利便性が高まって渋滞も減ること、料金所に釣り銭補充や売上金の回収のため、現金を運搬する手間が減ること、料金所での人件費節約などのメリットが考えられる。

 地元の有料道路でETCXが活用されれば、周辺の住民の利用が増え、近隣の商業施設などでもETCX決済を利用したいという声も増えると思われる。

 しかし、料金徴収係の方の雇用の維持や、非接触型ICカード、モバイル決済など他の決済サービスとの当初設置費用や決済手数料の競合なども含め、「大人の事情」もたくさんあるのかもしれない。

 ETCXのサービスを提供しているETCソリューションズ株式会社では、2024年までにETCX対応施設・店舗を100カ所まで増やし、将来的には全国10000カ所での利用を目指すとのことなので、これからのサービス拡大に期待しよう。

 国土交通省によると、2022年4月現在、ETC利用台数は1日あたり771万台、利用率は93.9%にも達している。また首都高速では、現在35ヵ所の料金所がETC専用となっており、2025年度中までにETC専用の料金所は全体の約9割まで拡大されるという。

 近い将来、ほとんど全てのクルマにETCが搭載されることを考えると、追加費用なしで利用可能なETCXはもっと普及の余地があるように思われる。有料道路を管理している自治体の首長に積極的に働きかけるなど、まずは公的なルートを活用して、利用可能な場所を増やしていってほしい。

【画像ギャラリー】ガソリンスタンドやドライブスルーでETCのように自動決済できる「ETCX」サービス開始!!(5枚)画像ギャラリー

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