■ボルボ インテリセーフ(XC60)の場合
(TEXT/松田秀士)
ボルボは自動運転に向けた開発に力を入れていて、運転支援システムでもとても進歩している自動車メーカーだと言えるだろう。
このXC60に採用されているのはカメラとミリ波レーダーによるサポート。歩行者はもちろん自転車も検知する。注目なのは自動ブレーキでも追突が避けられない状況では、回避操作を行う際にステアリング操作をアシストすること。
さらに、対向車線にはみ出して正面衝突しそうになると、ステアリングを自動修正して衝突回避をアシストする。交差点で右折時の対向車も検知して自動ブレーキを作動させる。ボルボの運転支援への取り組みは、他社に比べてかなり先を行っているように見受けられるのだ。
では、オートパイロットと呼ばれるACCとLKAの使い勝手は実際のところ、どうなのだろうか。
ACCは0〜200km/h全車速対応で自動停止も行う。LKAは140km/h以下でステアリングアシストを行う。
まず、停止車両にACC設定40km/hでの自動停止テスト。実は今回テストしたほかのどの車両よりも直前まで40km/hを維持していた。正直なところ、ブレーキを踏み込む準備をしていたのだが、かなり近づいてからやや強めのブレーキを自動作動させて停止。ブレーキの力強さはバツグンだった。
さてLKAだが、ボルボのLKAはとてもアクティブだ。市街地でもONにしておけば積極的に車線を探して車線内中央維持するようにステアリングをアシストする。車線を見失った後の復活も早い。ただし、アシスト時のステアリング操作が非常に速く強めだ。
また、誤認識とまではいわないが、緩いコーナーなどでは最後までアシストを諦めないので、時としてセンターラインを踏むこともあった。これも突き詰めているがゆえだが、少々慣れが必要で、アクティブ派には興味深い特性を持っている。
ブレーキを踏んだ場合、ACCとLKAの両方がOFFになる。
■BMW ドライビング・アシスト・プラス(X3)の場合
(TEXT/松田秀士)
BMWは5シリーズ、6シリーズGT、7シリーズ、そしてこのX3にLKA機能つきのドライビング・アシスト・プラスが標準装備されている。ミリ波レーダーとカメラによって検知しているのは他車(アイサイト除く)と同じだが、BMWの場合は単眼カメラではなくステレオカメラ。ハード面ではかなり奢られたシステムだ。
ボルボと同じく、自動ブレーキで衝突(追突)が回避できないと判断した場合、ステアリング操作の介入によって回避アシストを行う。
ACCは0〜210km/hの全車速に対応。210km/hという速度はアウトバーンのあるドイツ育ちらしい。基本的にLKAもそれに準じた対応だが、70km/h以下で先行車両が近い場合は先行車両に追従してLKAを行う。
BMWは70km/hと速度設定が高めで、それ以上の速度では車線認識でLKAを行う。70km/h以上で先行車両追従を行うと、先行車のふらつきに合わせてしまい、危険が伴うからだ。また、ACC&LKAは停止状態でも先行車あるいは車線を認識していればONの状態になっている。そのため、停止状態でもACC&LKAの設定変更ができるのだ。停止中は余裕があるのでとても便利だった。
停止車両にACC設定40km/hの自動停止テストでは、非常に効率がよく、しかも安心できる自動ブレーキだ。ACCでの追従最短距離はふつう。長くも短くもない。
BMWが他車と異なるところは、ACCとLKAが独立していること。LKAはステアリング上のボタンを押すだけで、ACCがOFFの状態でもアシストを行う。ACCの自動車間&速度アシストは嫌だがLKAは歓迎という人にはよく、その逆も可能。したがってACC&LKAの同時使用時にブレーキを踏んでもACCはOFFになるがLKAはONのままだ。
LKAのコントロールは5車中で1番の性能を見せた。
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