■各社のACC操作性は?
(TEXT/永田恵一)
アルファードは今回テストしたクルマでは、ACCの操作に唯一レバーを使うタイプで、メインスイッチを長押しすると通常のクルコンとしても使える機能も持つ。セレナはメインスイッチを押した後にセットボタンを押すとACCが作動を開始する。また、レヴォーグはセレナとほぼ同じ使い方だが、キャンセルのスイッチがあってもいい気もする。
ボルボXC60はレーンキープのONがスイッチを右に押すのが少しわかりにくいが、リジュームが戻る矢印なのはわかりやすい。BMW X3はリジュームとキャンセルボタンが一緒なのが特徴。
今回の5台で操作性ナンバー1は、スイッチが少なくそのぶんスイッチが大きくて見やすい点も含めてセレナだと思う。
■結論!
(TEXT/松田秀士)
今回の試乗テストはとても興味深い結果だった。こうやって同じ条件の下で比較すると、システムの作動状況の差がハッキリとわかるのだ。
とても興味深かったのはACCを40km/hに設定し、停止している車両に自動ブレーキを使うテストだ。ステレオカメラを装備するアイサイトのレヴォーグと、同じくステレオカメラ+ミリ波レーダーのBMW X3は停止車両の認識が早く、ドライバーに恐怖感を抱かせない停まり方をするが、ほかのクルマ(単眼カメラ)は比較的近づいてからブレーキをかけ始める。レヴォーグ以外はミリ波レーダーを併用しているのだが、このあたりの個性は開発者の考え方によるものだろう。コストも含めたACCのコントロールではレヴォーグが優れているので、ACCのコントロール1番を与えた。
今回テストできなかったが、マツダのシステムはACCとLKAが独立したBMWに近いもの。両社の考え方は、両方使用時にブレーキを踏んだ時に同時にふたつのシステムがダウンすることでドライバーへの負担が増えることを懸念してACCのみがOFFになる。このように各社で考え方に差があるのだ。
また、ホンダが軽自動車のN-BOXにホンダセンシングとしてACC&LKAを採用している。
さて、ACCはかなり以前から高級車を中心に採用されてきた技術だが、LKAは比較的最近の安全支援技術だ。古くは日産が2001年の4代目シーマで世の中に送り出した技術。その後、日産はおろか、どのメーカーにもLKAは採用されなかった。自動運転の注目とともに今頃になって注目されていることが不思議だ。あの時から引き続き開発を続けていれば、今頃は世界のトップを走る技術力を獲得していたはずなのだ。
LKAは無意識のうちにクルマを車線内に留まらせて、しかも真っすぐ走らせるというステアリング操作の負担を軽減してくれる。これとACCを併用することで、高速道路では先行車両に車間距離と速度を合わせる作業から解放されて、ダブルで脳にかかる負担を軽くしてくれるのだ。
クルマの運転とは、ちょうどコンピュータのメモリーがいっぱいになるほどソフトを立ち上げて同時作業を行っているようなもので、メモリーの空き容量が少なくなった高齢者などは反応が遅くなり疲れやすくなる。
そこで、そのメモリーの空き容量を増やしてあげるためにACC&LKAを使うことで周囲の変化に安全に反応できるようになり、疲労も抑えることができるのだ。自動運転までいかないまでも、この種のデバイスの進歩は交通安全に大きく寄与するもの。今後の進化にも大きな期待を寄せている。
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