ポルシェやランチアの名車も復活! 「復刻車」よ旋風を起こせ!!

このところ、往年の名車復活のニュースが続々と飛び込んでおり、クルマ好きたちの話題となっている。10月14日まで開催されていたフランス・パリモーターショーでは、プジョーが504クーペをモチーフにしたEVコンセプト「eレジェンドコンセプト」をお披露目した。

ただ、より話題を集めているのは、実際に市販が発表された、この2台。ポルシェのクラブスポーツレーシングカーの「ポルシェ935/78」と「アウトモビリ・アモス」が発表した「ランチア・デルタ・フューチャリスタ」だろう。

本稿では、同じ復刻車ながら実は成り立ちが大きく異なるこの2台にスポットライトを当てつつ、復刻車の背景に迫る。

文:大音安弘
写真:porsche AG、Automobili amos、David Brown Automotive、peugeot、Renault、Nissan


ポルシェ935&ランチアデルタの復刻車は値段もスーパー!

2018年9月、ラグナセカのイベントで公開された復刻版ポルシェ935とオリジナル版の935。マルティニカラーも懐かしいファン垂涎の1台だ

「ポルシェ935/78」は、伝説のレーシングカーである「ポルシェ935」の最終型にあたり、「モビー・デイック」の愛称で親しまれた「935/78」をモチーフにしたもの。

かつて911ターボをベースに開発されたのと同様に、最新型911GT2 RSをベースとしている新型車となる。オリジナルを強く受け継ぐのは特徴的なスタイルだけでなく、同様にトラック専用車となるのが大きな特徴。77台のみ生産され、価格は70万1948ユーロ(税別)と日本円換算で1億近いプライスタグを掲げる。

一方、ロードカーである「ランチア・デルタ・フューチャリスタ」は、ランチア・デルタHFインテグラーレ16Vに徹底したレストアを施し、さらにアップデートを加えたもの。

軽量化やエンジンパワーの向上など戦闘能力が大幅に高められているが、基本的にはオリジナル。生産台数は、情報を総合すると15台~20台に留められるようで、価格は30万ユーロ(約3900万円)という。

2台の復刻車は「似て非なるモノ」

アウトモビリ・アモス社が発表したデルタ フューチャリスタ。ランチア自身の復刻モデルではないが、オリジナルを忠実に再現。大幅にパワーアップした330psを発揮する2L直4ターボエンジンを搭載している

注目したいのは、この2台の復刻車の成り立ちが大きく異なることだ。「ポルシェ935/78」は、オリジナルのオマージュ。つまり、スタイルや思想を受け継ぎながらも、中身は最新世代の新型車であることだ。

身近な例を挙げれば、VW ニュービートルや現行型フォード マスタングなどが挙げられる。最も近い存在といえば、登場ばかりのアルピーヌ A110かもしれない。

今年復活! フランスが誇る名車を現代版にアレンジして蘇った新型アルピーヌA110(手前)とオリジナルのA110(奥)

しかしながら、デルタ・フューチャリスタを送り出したのは、オリジナルメーカーではなく、小さな自動車工房。すでに市場で活躍していた中古車をベースに仕立てたカスタマイズモデルなのだ。

このため、シャシーなど基本的な部分はベース車と同様。オリジナル同様のディメンジョンとスタイル、独自の雰囲気を持つことが最大の魅力だ。

非メーカー直系の復刻車に隠された事情

デビッド・ブラウン・オートモーティブが蘇らせたオリジナルMINI。エンジンは1275ccで、75hpを発揮

近年、この手のカスタムカービジネスは、さまざまな車種で行われ、さらに高い人気を集めている。その理由は、簡単。かつて憧れた名車を現代の技術で蘇らせることができるなら……というクルマ好きなら誰もが1度は憧れる夢を具現化されたものだからだ。

これまでの例を挙げると、昨年発表されたデイビット・ブラウンによる「ミニリマスタード」やシンガー・ビークル・デザイン社の「シンガー911」などが挙げられ、これらは高い評価を受けている。

もちろん、近年では、メーカーのクラシックガレージによる忠実なレストアサービスも存在するが、これらを求めるユーザーは、単にコレクションに加えたいのではなく、より積極的に自らが望む環境で、憧れたマシンでドライブを楽しみたいのだろう。

自動車工房による復刻車が独自のレプリカではなく、敢えて中古車を使用する背景には、本物を手にする歓びを提供することに加え、本家との著作権トラブルにも配慮したものらしい。

事実、ミニリマスタードでは、車体番号は受け継がれるが、ボディは新品が使用されている。また全くの新型車となる場合、各国の安全や衝突の基準に準拠しなくてはならず、コスト面や製品化のハードルが上がることから、中身は新品同様でも、あくまで中古車というスタンスを持ちたいということもあるだろう。

復刻車ブームは日本に広がらないのか?

冒頭で触れたプジョーのeレジェンド コンセプト。往年のプジョー504をモチーフとしたEVだ

2000年以降、米国市場を意識したオマージュ車が続々と登場したことは記憶に新しい。再び、さまざまな形で往年の名車が復活を遂げているのは、かつての憧れを頂いた少年が立派な大人へとなり、新たな顧客へと成長したこと。

そして、自動車が直面する100年に1度の大変化が自動車ファンに安全・安心、高性能、低燃費といった多くのメリットをもたらしながらも、同時に厳しい選択を迫っている背景もあるのだろう。

それも今のうちにという人の心を駆り立てる。そして、あの頃の憧れが3000万円で手にできるなら、デルタは決して高くないと感じた人もいたるはずだ。

日本でもリメイクして欲しいモデルは、山ほどある。しかしながら、世界に名だたる自動車大国でありながら、メーカーや自動車工房を問わず、大掛かりなリメイクプロジェクトが行われた例はほとんどない。

レストアについてもホンダが初代NSXのサービスを撤退した後、今年よりマツダがユーノス・ロードスターのレストア事業を本格的に稼働させたばかりだ。また往年の名車のオマージュを取り入れた例も限られ、現行車では日産フェアレディZくらいとなっている。

この世界的なブームは、日本にやってこないのだろうか。自動車を大切にする国民性故、最適なベース車を見つけることも難しくないと思うのだが、自動車大国でありながら、他国とは異なりスポーツカー消滅の危機に瀕する日本では、残念ながらビジネスとしては成立しづらいのかもしれない。

日産が2013年の東京モーターショーに出展したIDx NISMO(手前)とIDxフリーフロー(奥)。復刻モデルが少ない日本車にあって、510型ブルーバードやハコスカを彷彿とさせるデザインで注目を集めた

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 メーカーからすれば「採算性がない」という判断もわからなくはないが、中古車市場がその人気ぶりを示す車種で、台数を限った限定車なら話はまた変わってくるかもしれない。例えばいま、R32型スカイラインGT-Rの復刻版を発売すれば、売れまくると思うのだが……。

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