前席乗員にも危険をきたす、後席シートベルト非着用
2008年に義務化された、後部座席でのシートベルト着用。しかしながら、2020年に行われたJAFユーザー調査では、5人中3人はシートベルトをしていなかったそう。2016年の調査では、35%程度(一般道の場合)だったので、徐々に改善している傾向ではありますが、後席シートベルトに関しては、まだまだ、理解が進んでいない状況です。
前席が厳しく取り締まりがされている一方、後席に関しては取り締まりも厳しくなく、また違反点数も、(前章でふれたように)前席が違反点数1点となるのに対し、後席では高速道路のみ1点、一般道では口頭注意のみ。そのため、「締めなくても大丈夫」と思っているかもしれませんが、シートベルトの必要性は前席も後席も変わらず、むしろ後席乗員がシートベルトをしないことで、前席の乗員が危険な目に遭うことにも繋がってきます。
JAFがダミー人形を使って行った実験(55km/hフルラップ前面衝突試験)では、シートベルトを着用していない運転席側後席ダミーが、前方向へと投げ出され、運転席のヘッドレストに頭を打ち付けたあと、シートごと運転席ダミーを押しつぶし、運転席ダミーがハンドルとシートの間に挟まった、という結果となっています。
運転席側後席ダミーの頭部は、ヘッドレストを介して運転席ダミーの後頭部に衝突。シートごと押しつぶされた運転席ダミーとともに、頭部に重大な損傷が発生する可能性がある衝撃となったそう。後席シートでも、シートベルトを着用していたダミーは、上体をしっかりと拘束されたことで、前方へと投げ出されることはなかったそうです。
また、シートベルト非装着の場合、事故の際に車外へ放出されるリスクもあります。100km/h近いスピードでクルマが走行している道路で、もし車外へ放出されたら…。かなり深刻な状況に置かれることは想像できるでしょう。小さな子供であればなおさらそのリスクは高まります。後席でも、シートベルトは必ず装着するようにしてください。
危険だから「やっちゃだめ」とされている
他にも、交差点でのあおりハンドルや、黄色信号でのアクセル踏み込み、などは、よく見かけるけどやめたほうがいい違反行為。
交差点でのあおりハンドルは、「運転テクニック」だと思っている人もいるようですが、左折時の内輪差でひっかける原因を勘違いしている、もしくは、できるだけ減速をしたくない、という自分勝手な理由で危険な運転をしていることに気づいていない、非常に愚かな行為。
道路交通法 第34条第1項の「左折の際にはあらかじめできる限り道路の左側端に寄り、かつできる限り道路の左側端にそって、徐行しなければならない」という規制に違反するものであり、また(あおることで)ウインカーがキャンセルされたまま曲がっていけば、「合図不履行違反」にもなります。なにより、周囲のクルマにとって大変迷惑。黄色信号でのアクセル踏み込みも同様に、自分勝手極まりない行為です。
「まわりでやっているから」 「これで何十年も運転してきたし」 「こんなことで捕まらないでしょ」という思考は、ドライバーのモラル不足です。違反となる行為は、危険だから違反なのです。本稿で紹介した行為にもし心当たりがあるならば、今すぐに改め、安全にカーライフを楽しんでください。
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