■一時国内撤退のRAV4! SUVらしいデザイン&時代も後押しして大復活
トヨタRAV4の足跡を振り返ると、この経緯が良く分かる。初代RAV4は、1994年に3ドアボディのコンパクトSUVとして発売された。
当時のSUVは、トヨタハイラックスサーフのような後輪駆動ベースの4WDを備える悪路向けの車種が中心だったが、RAV4は前輪駆動ベースで、5ナンバー車だから街中の走りにも適した。
初代RAV4は、外観のデザインもバランスが良く、ボディサイズは全長が3695mm、全幅は1695mm、最小回転半径は5mだ。小回りの利きも優れている。エンジンは直列4気筒2Lで、動力性能にも余裕があった。1995年には全長を4105mmまで伸ばした5ドアのRAV4・Vを加えて、売れ行きをさらに伸ばした。
それが2000年に発売された2代目RAV4は、全幅を1735mmに拡大して3ナンバー車になった。それでも全長は3ドアが3750mm、5ドアでも4145mmだから、SUVではコンパクトな部類に入った。
RAV4の印象が大きく変わったのは、2005年に発売された3代目だ。
5ドアボディのみで全長は4335mmだが、全幅は1815mmまで拡幅された。全幅がワイドだから、街中では持て余しやすいが、全長は4335mm、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)も2560mmに収まるから、後席はあまり広くない。機能が中途半端だった。
しかも2007年には、RAV4をベースに、全長を4570mm、ホイールベースを2660mmまで伸ばしたヴァンガードが発売される。内外装も上質で堅調に売られたから、3代目RAV4はユーザーを奪われた。2012年におけるRAV4の1か月平均登録台数は約250台、2013年は約190台と低迷したのだ。
その結果、海外では2013年に4代目RAV4が発売されたが、日本への導入は見送られ、3代目RAV4を継続して細々と売り続けた。
販売の終了は2016年で、発売から10年以上を経過していた。典型的な自然消滅であった。このように4代目のRAV4は国内に投入されなかったが、2019年になると、現行型の5代目を3年ぶりに国内で復活させた。北米では2018年に発表され、日本国内には翌年に投入されている。
5代目RAV4のボディサイズは、人気のアドベンチャーで見ると、全長が4610mmで全幅は1865mmだ。海外向けで、日本のユーザーを意識して開発されたわけではない。それなのに、なぜRAV4は5代目になって国内販売を復活させたのか。開発者に尋ねると、以下のように返答された。
「最近(RAV4が復活した2019年頃)は、国内でもSUVの人気が高まり、売れ行きも伸びている。ミニバンからSUVに乗り替えるお客様も増えた。しかも5代目RAV4の外観は、従来型に比べてアクティブで力強い。この5代目の特徴は、日本のお客様からも支持されると考えた」。
この狙いは的中して、2019年4月に国内販売を復活させた現行RAV4は、2019年下半期(7~12月)に1か月平均で6000台以上を登録した。2020年はコロナ禍の影響で国内販売全体が伸び悩んだが、それでも1か月平均で4500台以上だ。
人気を落とした3代目は、発売直後になる2006年でも1か月平均が約1900台だったから、2020年に4500台以上を登録した現行型は立派な復活といえる。
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