2回しか使われず廃車に 4000万円の御料車 皇室用ロールスの真相

■総航行距離は4000km超

 では、いつから「走行困難」になったのか。

 御料車をはじめとする宮内庁の公用車は、皇居内の車庫に併設する直轄の「指定工場」で日常の点検から車検までを万全の体制で行っている。

 コーニッシュ3の整備記録には、平成16年に「オイル漏れ点検」、「燃料漏れ点検」、「交換部品点検」や、翌17年5月には「燃料関係ホース交換」といった気になる記載はあるが、その間も皇居内で定期的な試運転が行われているなど、メンテナンスは良好だった。

 しかし、その試運転も平成18年12月を最後に行われなくなった。原因は、「燃料ポンプの故障」だったと伝え聞く。

 宮内庁は、コーンズを通じてロールスロイス社へ部品の調達を試みるが、「オーダーメイドゆえ、納品がいつになるかわからない」という返事だった。これでは修繕の目途が立たず、高額で納期のわからない調達はできない。

 (編集部註:遡ること平成10年、ロールスロイス社がもとの所有者である英国の重工業メーカー ヴィッカースからフォルクスワーゲンへと売却された際、それまでの契約の関係から商標の権利のみがBMWに移動したことも、納期が不明となった一因かもしれない)

 当面使用する予定もなく車歴も16年を経過していること等を熟考した結果、一時抹消登録=廃車手続きが取られた。宮内庁としても「苦渋の決断」であったに違いない。

「皇10」の車検証(上)および登録抹消証(下)。上の書類はコーニッシュ3の宮内庁移籍時の車検証。初度登録年は平成2年とある。また下の書類は一時登録抹消証書である。これによれば初度登録は平成2年9月25日であることがわかる。また登録番号、すなわちナンバーは「皇10」と記されている。これらの書類から全長5200mm、全幅1860mm、全高1520mm、車重2550kgであることがわかる
「皇10」の車検証(上)および登録抹消証(下)。上の書類はコーニッシュ3の宮内庁移籍時の車検証。初度登録年は平成2年とある。また下の書類は一時登録抹消証書である。これによれば初度登録は平成2年9月25日であることがわかる。また登録番号、すなわちナンバーは「皇10」と記されている。これらの書類から全長5200mm、全幅1860mm、全高1520mm、車重2550kgであることがわかる

 初度登録年月日:平成2年9月25日。納車も登録日と同日、秘密裏に行われ、キャリアカーでコーンズから直接、皇居内の車庫へ搬入された。その時の走行キロは175km。

 翌日からは2週間にわたり皇居内で足慣らしが行われ、パレード後の走行キロ数は260kmと記録にある。

 以後、平成19年3月29日の一時抹消登録となるまでの生涯走行キロ数は4135km。これは月に5回程度実施される試運転によるもの。1回あたり5km程度の走行だが、18年間で4000kmにも至ったということ。平均燃費はリッター3kmだった。

 現在は、「保存用参考品」として過去に在籍した3台のロールスロイスとともに宮内庁の車庫で保管されている。

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