嗚呼これぞヨーロッパの香り……コンパーノスパイダーがダイハツと日本車に遺した遺産

■4人乗りのスパイダー

 コンパーノ・ライトヴァンが1963年4月、つづいて同年6月にワゴン、11月に2ドア・ベルリーナと次々に発売された。じっさいにイタリアでデザインされたのはヴァンのプロトタイプのみで、ベルリーナへの変更はダイハツ社内で行なわれた。そして、1965年4月、待望のコンパーノ・スパイダーが登場してくる。

 それまで初期のベルリーナなどは直列4気筒OHV797cc、41PSで、いささかパワー不足といわれていた。スパイダーはエンジンを998ccに拡大、ツウィン・キャブでパワーは一気に65PSにアップ、最高速度145km/hを謳う。初期のベルリーナの110km/hからはひと回り以上の性能アップだ。

 これはすぐにベルリーナにも反映され、4ドアを含むコンパーノ1000、さらにはスパイダーの65PSエンジンを移植したコンパーノ1000GTなども登場した。なお、標準のコンパーノ1000は55PSだった。

 できあがったコンパーノ・スパイダーは、4人乗りオープン・モデルとして独自のポジションを持っていた。フロントがウィッシュボーン+トーションバー、リアがリーフのリジッドというコンヴェンショナルな足周りで、その分、特別スポーティではないけれど堅実な走りが味わえるものになっていた。

 スパイダーを含め、コンパーノ・シリーズはよくできた小型車の印象であったが、いかんせん販売力等はまだまだだった。

 1967年にトヨタとの提携がはじめられたことで、1969年のチェンジではトヨタ・パブリカのボディ+ダイハツ製エンジンの組み合わせられたダイハツ・コンソルテになって、姿を消してしまった。

【著者について】
いのうえ・こーいち
岡山県生まれ、東京育ち。幼少の頃よりのりものに大きな興味を持ち、鉄道は趣味として楽しみつつ、クルマ雑誌、書籍の制作を中心に執筆活動、撮影活動をつづける。近年は鉄道関係の著作も多く、月刊「鉄道模型趣味」誌ほかに連載中。季刊「自動車趣味人」主宰。日本写真家協会会員(JPS)

【画像ギャラリー】ヨーロッパの香り漂う4人乗りオープンモデル ダイハツ コンパーノ スパイダー(6枚)画像ギャラリー

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